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年下彼氏 永原さとみ編 その二

作者: さくら おさむ

年下彼氏 永原さとみ編の続きです。

読んでくれたら幸いです。


 私は慎太君とマキノさんの撮影を見ていた。

 やりとりを見ていると本当の恋人同士に見えてしまう

 演技とはわかっているけど、嫉妬してしまう。

 そうこうしていると人だかりができていた。


「何の撮影?」

「ドラマ? 映画?」

「わからないけど、あの二人いいね」


 観光に来たと思われる女性三人が撮影を見ながら話していた。

 話を聞く限り印象は良いようだ。

 けど、私の心の中は複雑な気分だった。

 四条大宮駅の撮影が終わり、二か所の撮影場所折車神社(おれくるまじんじゃ)に向かった。

 私と慎太君、そしてマキノさんは電車で移動していた。

 普通なら私と慎太君が一緒に居るはずなんだけど、次の撮影の打ち合わせ為慎太君はマキノさんと一緒に居た。

 仕事だからとわかっているけど、なんか釈然としない。

 せめて、この時間ぐらいは私と居てほしい。

 

「ね、あの席に座っているカップル。なんか画になるね」

「本当だ。文字通り画になるカップルだね」


 別のカップルが慎太君とマキノさんのことを褒めていた。

 慎太君の彼女はこの私です。

 と、言いたいけど急にそんな事を言われても相手も戸惑うから言うのは控えた。

 そんな事を考えていたら、折車神社に到着した。

 折車神社は金運、商売繁盛、良縁、厄払いの神社である。

 なぜ、ここになったかというと大都電気鉄道の社長がここでこの企画を成功させたいのでここで御祈祷してほしいと頼まれたからだ。

 何もPR動画を作っている最中にしなくてもいいと思うけど、お金出してもらっている以上は文句は言えない。

 御祈祷が終わった後、撮影が始まった。

 見ていると画になるカップルだ。

 だけど、さっきから少しに気になるところがあった。

 マキノさんの言葉、正確に言うとイントネーションが微妙におかしい。

 これが素人が作った動画なら使えるのだが、今回は一流の撮影スタッフを作ったとなるとこれはさすがに使い物にはならない。

 予定時間を一時間以上オーバーして撮影が終わった。

 やれやれという顔しながら慎太君が私のところに来た。


「やっと、折車神社の撮影が終わった」

「お疲れ様。やり直しが多くて大変だったね」

「うん。移動中の打ち合わせの時にわかっていたけどね」

「どうして?」

「言葉のイントネーションが違っていたからね。もちろん、打ち合わせの時に教えたけど、撮影になると緊張のせいか忘れてしまったみたいだね」


 慎太君は移動中の打ち合わせの時にマキノさんに言葉のイントネーションを教えていたんだ。

 じゃあ、教えていなかったらもっと時間がかかったの……。

 それを考えると少しだけ怖くなった。


「まあ、過ぎたことは考えるのはやめよう。次は嵐山だ。ここは時間通りに終わりたいね」


 慎太君はあまり気にしている様子だった。

 そういえば、マキノさんはどこに居るだろう……。

 私は境内を歩いていたら、マキノさんが芸能神社に居た。

 お参りにしては何か力強い想いが感じてしまう。

 そのおかげで近づくことができなかった。

 

 嵐山。

 ここは説明不要の観光スポット。

 本来ならここでの撮影は不要なんだけど、ベタな観光スポットも撮影したの方がいいと社長に言われたのでここの撮影になった。

 まあ、スポンサーには頭が上がらないのはどこの企業も同じだ。

 撮影開始は今から一時間後になった。

 これは慎太君が「自分達だけでリハーサルをしたい。撮影隊のみなさんもせっかく観光地に来て何もできないのは辛いと思いますから」と提案したのだ。

 撮影隊もそれに同意した。

 それが正解だったかもしれない。

 なぜなら、折車神社の時にマキノさんが簡単なセリフが言えなくて、撮影隊はいらいらしていたからだ。


「慎太君、一時間しかないけど大丈夫?」

「さとみさん、一時間もあるから大丈夫ですよ」


 そうは言っているが簡単なことじゃないということは慎太君自身が一番知っている。

 

「じゃあ、私カメラマン役やる」

「なんで?」

「少しでも本番みたいしておけば、気が楽かなと思って」

「確かにそれはいいかもしれませんね」


 慎太君は私の提案に乗ってくれた。

 私はマキノさんを探した。

 マキノさんは私達の離れたところで台本を読んでいた。

 

「マキノさん、リハーサルを始めるけどいいかな?」

「はい。堅田さん永原さんよろしくお願いします」


 まずは移動せずに台本の読み合わせをした。

 やっぱり、イントネーションがおかしい。

 それを慎太君が一つ一つ修正していく。

 マキノさんはそれを聞いて直していく。

 この二人の集中力に私は感心する。

 そういえばマキノアリサって、芸名にしては変わっているな。

 普通だったら、そのままにするか名字か名前を別にするかのどっちらかなのに……。

 もしかしたら、カタカナした方が運気がいいのかな?

 確かに芸名変えただけで人気が上がったという芸能人もいるからね。

 二人の台本の読み合わせが終わると私達三人だけでリハーサルするにした。

 一通りやってみて、私達は録画したものをチェックする。

 

「この調子なら本番でも大丈夫だね」

「ありがとうございます。これも堅田さんの指導のおかげです」

「いえいえ、マキノさんの努力の成果ですよ」

「いえいえ、堅田さんの教え方が良いからです」


 そんな褒め合いが暫く続いた。

 正直どっちでもいいよ……と言いたい気分だった。

 一時間が経ち撮影隊と合流、撮影が始まった。

 一回リハーサルをしたから一回で成功するとは思わないが折車神社の時よりは早く終わるだろう。

 撮影は三回だけNGがあったが予定していた時間に終わった。

 

「今日の撮影はこれで終了です。明日は伏見と八幡エリアを撮影です。集合時間には遅れないお願いします」


 助監督さんが撮影スタッフと出演者に呼び掛けていた。

 私達は撮影隊と別れた。


「さとみさん、もうすぐ日が暮れますね」

「本当だね。これからどうします?」

「せっかく嵐山に来ていますから、宮野神社(みやのじんじゃ)に行きたいですね」

「宮野神社ですか、いいですね。一度、行ってみたいと思っていました」

「じゃあ、決まりですね」


 私達は宮野神社に向かった。


「宮野神社に行く途中のこの竹林の道って、いかにも京都と言っても過言じゃないね」

「うん。わびさびを感じる」

「そうですね。わびさびを感じますね」


 私の言葉に慎太君も同意する。


「ところでわびさびって、なんですか?」

「……なんでしょうね?」


 予想外の質問に冷や汗が出る。


「一緒に調べませんか? せっかくだし」


 慎太君も言葉選択を間違えたと思い、慌てて言葉を変える。

 わびさびを調べてみた。

 意外な言葉の意味に感心する。


「さとみさん、もしかしたらわびさびを説明しろと言われたら八割近く日本人が間違った説明をするかもしれないですね」

「そうかもしれないですね。私も間違った解釈していました」

「まあ、わびさびという言葉の意味は学校では学びませんですからね」

「これでお互い一つお利口さんになりましたね」

「そうだね」


 そんなこと言っている間に宮野神社に着いた。

 やっぱり、女性とカップルが多い。

 なぜなら、恋愛関する願い事なら東の主地神社(かずじじんじゃ)、西の宮野神社と言われるぐらいだ。

 もちろん、私もここで数え切れないぐらいのお願いごとをした。

 しかし、叶った願いは無い。

 願うだけ願って後は神様任せて自分は何もしない。

 それでは叶う願いも叶うわけない。

 結局は願いを叶えたければ、自分で行動するのが一番ということをつい最近知った。

 私達は御参りした後、近くある亀石に行った。


「これがお願い事を思いながら撫でると願いが叶う亀石か……」

「初めて見るの?」

「実物は初めて見る」


 慎太君はまじまじと見る。

 

「そうだ。さとみさん、一緒にやりませんか?」

「えっ、それって……」

「一緒にお願いしませんか?」

「……うん」


 慎太君の積極的な行動に私は驚きながらも同意をした。

 私達は亀石に手を添える。

 一分ぐらい黙ってお願いを込める。

 そして、ほぼ同時に亀石から手を離した。

 次の人が待っているので取りあえずその場から離れる。

 そのまま、宮野神社を出た。


「ねえ、何をお願いしたの?」


 本当は聞くのは良くないとは思うのだけど、やっぱり気になってしまう。


「さとみさんと来年も一緒に来られますようにとお願いしました」

 

 それを聞いて顔が赤くなった。

 よく見ると慎太君の顔も少し赤った。

 あっさり言ったつもりだけど、慎太君もそれなりに照れくさかっただろうな。

 

「私はね、また慎太君とここに来られますようにとお願いした」


 私も自分が願ったことを言った。

 人の願いを聞いておいて、自分のは言わないとずるいから進んで言った。

 

「同じことを願っていたですね」

「うん、そうだね」

「それが実現できるように頑張らないといけないな」

「私も頑張りますね」


 そう言った後、お互い笑ってしまった。

 なんで笑ったのかわからないけど、笑ってしまった。

 理由なんて無くていい。

 きっと幸せっていうものは、何気ないことものだろうと思うからだ。


 次の日。

 私達は八幡市駅に居た。

 今日は八幡と伏見エリアの撮影。

 始めは清水石八幡宮しみずいわはちまんぐうの撮影だ。

 男山ケーブルカーに乗って、山頂を向かう。

 撮影隊は既に到着をしていて準備に余念が無い。

 マキノさんは本殿でお参りしていた。

 折車神社の時もそうだったけど、マキノさんがお参りしている時は何か強い信念を感じる。

 お参りが終わるのを見計らって、私は話しかけた。

 

「マキノさん、おはようございます」

「永原さん、おはようございます」


 マキノさんは深々と頭を下げる。

 本当に丁寧な人だ。

 

「マキノさん、おはようございます。今日もよろしくお願いします」


 慎太君がマキノさんを見つけて挨拶した。


「か、堅田さん、お、お、おはようございます。こ、こちらこそ、よろしくお願いします。私、準備がありますので失礼します」


 マキノさんは顔を真っ赤にしながら挨拶して、その場を去った。

 慎太君は呆然した後に言う。


「驚かしてしまったかな? 後で謝らないと」


 驚いたのは事実だけど、驚いた理由が慎太君と考えているのと違うと思う。

 何か心配していた事が現実になってきた。

 幸い慎太君はマキノさんの気持ちにはまだ気付いていないようだ。

 このまま気付かずに撮影を終えてほしい。

 そんな事を考えているうちに撮影が始まった。

 山頂駅から清水石八幡宮を参拝するという撮影だ。

 参道を歩くシーン、お参りするシーン、おみくじを引くシーン。

 どれのシーンをとってもカップルに見える。

 慎太君も撮影に慣れてきたのか自然に演技ができるようになってきた。

 マキノさんは昨日と比べるとイントネーションが良くなっている。

 が、今度はセリフに意識が行き過ぎて表情が少し固い。

 やっぱり監督からそれを指摘された。

 指摘されたところはすぐに修正してここの撮影は終わった。

 今度は深草稲荷(ふかくさいなり)で撮影だけど、昼からなので私達は八幡市駅周辺を観光することにした。

 観光と言っても時間が限られているので散歩みたいなようなものしかできないけどね。

 一番に始めに向かったところは川岸の桜を見に行った。


「やっぱり、咲いていませんね」

「春は始まったばかりですからね」

「残念だな」

「仕方ないですよ。次に来ましょう」


 私は残念そうしている慎太君を次に行くように促した。

 次は伝単寺(でんたんじ)に行った。

 ここはらくがき寺として有名なお寺。

 らくがきと言っても書かれている事は願い事であって、決してふざけた事は一切書かれてはいない。

 伝単寺に到着。

 門は開いているが人はいない。

 

「慎太君、ここだよね?」

「ここだと思うだけど……」


 と言いながら、慎太君は中に入って行った。

 大丈夫かな、不法侵入と言われて捕まらないかな?

 私が心配していたら、ここの住職と思われる人が詰所から現れた。

 

「すみません、ここは伝単寺でしょうか?」

「はい。そうですが、拝観ですか?」

「はい。拝観料はどこで支払えばいいでしょうか?」

「拝観だけなら百円、願い事を書かれるなら三百円です。本堂で納めてください」


 それだけ言って慎太君の側から離れて詰所に戻って行った。

 どうやら、どこかに行く準備をしてたらしい。

 もしそうなら、申し訳ないことをしてしまった。

 私達は本堂の中に入った。

 正面にお釈迦さまの像が有り、白い壁にはたくさんの願い事が書かれていた。


「わあ、たくさんの願い事が書かれているね」

「本当だね。これから書く人はどこに書けばいい困るぐらいだね」


 慎太君が返答をしていた時、私は見慣れた名前を見付けた。

 私は慎太君を呼んで一緒に確認をする。

 

「慎太君、間違いないよね」

「間違いないね」

「そうか」


 少し考えた後、言った。


「慎太君。私、手伝えることないかな?」

「うーん、この願いだけは本人の努力しかないからね」

 

 確かに慎太君の言う通りだ。

 

「だけど、さとみさんはさとみさんだけしか見えない視点があるから、それが視えるまで待っていればいいと思う」

「私だけの視点……」

「そうです。それはさとみさんの天性のものであって他の人には持っていないものですから」

「それは言い過ぎだよ」

「いいえ、言い過ぎでは無いです」

 

 私が笑いながら言ったが慎太君は否定した。


「ビワイチや大都電気鉄道のPR動画の作るきっかけを作ったのはさとみさんなんだよ」

「でも、構想したのは慎太君だよ」

「きっかけが無ければ構想することもできませんよ」

 

 確かにそうだけど……。

 慎太君は更に話を続ける。


「きっかけって、とっても大事ですから。それがあったから、新しい物ができることがありますから」

「そうですね」

「出会いもきっかけと同じです。僕がさとみさんと出会えたのはあの会社に来てくれたから。お付き合いできるのはさとみさんがミシガンクルーズのデートに誘ってくれたから」

「ばか」


 私は慎太君の額を軽く小突く。

 きっと、話が重たくなる方向になりそうだったから話を変えたのだろう。

 

「もし、きっかけが視えましたら僕にも教えてください。力になりたいですから」

「わかりました」


 とは言ったけど、はたしてきっかけは視えることができるだろうか?

 私は伝単寺のお釈迦さまに手を合わせて、私の味方してくださいとお願いした。

 筋違いなのは十分にわかっているけど……。


 昼になり、私達は深草稲荷に居た。

 私はたくさんの観光客を見ながら言った。


「さすが、京都五大観光スポット一つだけあって人が多いね」

「本当に多いですね」


 慎太君は同意した後、首を傾げた。


「後の四つはどこですか?」

「清水寺、金閣寺、嵐山、四条河原町だよ」

「……最初の二つはわかりますけど、嵐山は観光地で四条河原町は観光地ではないですけど……」

「だめですか?」

「だめではないですけど、どこの情報なんですか?」

「私が決めた」

「……なんとなくなんですけど、納得できました」


 慎太君の顔が若干呆れていた。

 やっぱりだめか。

 後で慎太君が納得できるような候補を考えよう。

 私達はマキノさんと撮影隊に合流した。

 慎太君とマキノさんは台本に合わせながらリハーサルをしていた。

 リハーサルをするのはいいだけど、マキノさんの少しだけ顔が赤い表情が気になるだけど……。

 マキノさんだけ見るともやもやする。

 慎太君を見ると淡々と台本を読んでいる。

 それを見ると安心するだけど、もし私がマキノさんの応援する立場だったら、この鈍感が!って怒っていたかもしれない。

 リハーサルも終わり、撮影が開始された。

 しかし、人が多いので撮影が中断をしてしまう。

 人が少なるのを見計らって、撮影を再開する。

 また、人が多くなって中断する。

 その繰り返しが何度も続いた。

 もう少し警備の人を増やせばいいのと思ってしまった。

 それでもなんとか撮影が終了した。

 

「慎太君、二日間お疲れ様でした」

「ありがとう。最後が一番疲れたよ」

「確かにね。うまく行きそうだなと思っていたら、カメラの前に人が横切ることが起きたからね」

「もう少し人の流れを整理をする人を増やさないと駄目だね」


 あ、やっぱり慎太君もそう思っていたんだ。

 そう考えると嬉しくなる。

 マキノさん、彼氏彼女になると考えることも同じになるですよ。

 と、言いたいけど止めとこ。

 たまたま一緒になっただけかもしれないから。

 そう思っていたら、肩を二回軽く叩かれた。

 振り向くと老夫婦の外国人が居た。

 それと同時に話しかけてきた。

 英語だとわかるが喋るスピードが速いので頭の中の変換スピードが全く追いつかない。

 あたふたしてると別の方向から英語が聞こえてきた。

 勘弁してと思いながら振り向いたらマキノさんが居た。

 私の隣に来て代わり老夫婦の対応してくれた。

 あまりの流暢な英語の喋りに呆然としてしまった。

 喋り終わって、私達の方を向いた。


「あの、このご夫婦の方ホテルコークラに行きたいと言っているですけど、私は場所知らないです。堅田さん永原さん場所知りませんか?」

「そのホテルなら知っているよ」


 今度は慎太君が老夫婦の対応した。

 マキノさんほどではないが十分ぐらいの会話をしていた。

 慎太君にこんな特技があるなんて知らなかった。

 関心より驚きの方が先に感じていた。

 説明が終わって、老夫婦は私達に頭を下げてその場を離れて行った。


「ちょっと慎太君、英会話できるの!?」

「高校二年生の時、親父の出張で無理矢理アメリカに行かされたから」

「凄い、慎太君!」

「凄くないよ。英語ができないと生活ができないというより命に関わることが多いから、必死に覚えた」


 思い出したくない過去を思い出したのか表情が暗くなった。

 ごめん。慎太君の気持ちに気付かずに一人で勝手に盛り上がって。

 

「堅田さん、どこに住んでいたですか?」

「簡単に言うとどこかの都市のスラム街」

「……スラム街って、私のイメージなんですけど素行の悪い人達が居るところですよね?」

「まあ、そんなところだね。僕の住んでいたところはほぼ毎日のように抗争があるし、二週間に一度は誰が死ぬというところだったよ」

「……聞いて、すみませんでした」


 マキノさんは謝った。

 多分、話を変えようと思っただけど、逆効果になってしまったので謝るしかなかっただろう。

 私もあの状況ならマキノさんと同じ行動しているな。

 ふと思ったけど、慎太君のお父さんの職業は何だろう?

 気になるけど、聞くのが怖い。


「僕の事はここまでにして、ところでマキノさんの英語はどこで身に付けたですか?」


 慎太君は自分の話を打ち切って、マキノさんに振った。


「私は生まれがアメリカのサンフランシスコなんですよ」


 それを聞いて私は驚いた。

 更に話を続ける。


「曾爺さんと曾婆さんが日本人なんですよ」


 なるほど、マキノさんは日系アメリカ人なのか。

 それなら日本語のイントネーションが微妙に違う理由がわかる。

 私はある事に気付く。


「え? ということはマキノアリサは芸名ではなく本名なんですか?」

「そうですよ。変ですか?」

「変ではないです。ただ、全部カタカナだったので芸名だと勝手に思っていました」

「そう言われるとそうですね。私、見た目が日本人に見えますからね」


 確かに見た目は日本人に見える。

 四世代に渡っているのにここまで日本人体型が維持ができるのかな?

 曾爺さんと曾婆さんの遺伝子がどの遺伝子よりも強かったのか、隔世遺伝をしたとしか説明できない。

 英語か……。

 

「あっ」


 私がふと発した言葉に慎太君は反応した。

 

「もしかして、視えましたか?」

「視えちゃいました」


 きっかけって、本当にどこから出てくるのかわからないものだと感じてしまった。

 

今回も未完成での投稿になりました。

次回には完成します。

するといいな……。(^^;) 

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