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信長公弟記

織田さんちの八男です【短編版】

作者: 彩戸ゆめ

このお話は連載版の第1話と同じです。

歴史物を書いてみたいと思ったら、資料に四苦八苦しました。今でもちゃんと理解しているかは自信がありません。なので、これはファンタジーだと思ってください。

ちなみに主人公の年齢は八男ということで、色々計算した結果、「信長公記」の記載とは違っております。ご了承ください。


連載版始めました。http://ncode.syosetu.com/n1768dx/

よろしくお願いします。

 その日は朝から寒い日だった。でも朝早くから出ないといけない会議があるから、俺は断腸の思いでぬくぬくした布団から這い出て、トイレに向かった。


 トイレもまた寒かった。まあそうだ。一人暮らしのしがないアラサーリーマンじゃ、トイレに暖房なんて贅沢なもんはつけられない。吐く息が白くならないだけマシだよなぁなんて思って用を足して。


 そしたら、ブチってパンツのゴムが切れる音が聞こえた。


 え。最近太ってきたから、ゴムが切れたのか、とか。そーいやこのパンツ、腹回りのとこがちょっと擦り切れてきてたよな、とか。そんな埒もないことを考えてたら、よろめいたのか、ガンっと左肩に衝撃が走った。


 痛てぇ、と思ったけど。

 肩だけじゃなくて頭もぶつけたのか、物凄い痛みが頭を襲って、視界が真っ暗になった。


 そして―――


 そのまま、意識が途切れた。







 誰かが俺を呼ぶ声が聞こえる。


「……しっかり……さい……」


 ああ、いつまでたっても会議に現れない俺を心配して、同僚の誰かが様子を見に来てくれたのかな。このアパートは一応社宅で借り上げてるし、総務に鍵も預けてあったもんな。預ける時は、うちの会社の個人情報はどうなってんだ、と思ったけど、こういう不測の事態の時には役に立つもんだな。


 がんばって目を開けようと思うけど、なかなかまぶたが上がらない。頭を打ったからかな、なんて考えたけど、聞こえてくる言葉に驚いてそれどころじゃなくなった。


「ええい、いくら供の者をつけずにいたからとて、孫十郎叔父はとうてい許せぬ! このまま喜六の目が覚めねば、守山は焼き討ちじゃ!」

「勘十郎さま。お鎮まりなさりませ。ここは殿のお沙汰を待つべきでござります。短気を起こしてはなりませぬ」

「離せ、権六! お前はこの喜六の姿を見て、なんとも思わんのか!」

「それがしも断腸の思いでござりますが、殿のお沙汰を待たずに焼き討ちなどなされば、殿を侮ったととらえられかねまする。いずれ殿が参られれば、焼き討ちの許しも出ましょう。ここは、ひとえに! ひとえに堪えてくださりませ!」


 えーっと。何この時代劇? 俺そんなTV見てたっけ? いやそもそも、早朝だし、って。……ああ、朝の連続ドラマとかかな? それか大河の再放送? それにしても凄い臨場感あふれるドラマだな。すぐそこで喋ってるみたいに聞こえるよ。

 ところで今年は何をテーマにしてるんだ? 真田はもう終わったよなぁ。

 それにしてもカンジュウロウはともかく、ゴンロクってどっかで聞いた事あるな。ゴンロク、ゴンロク……ああ、権六か。確か、大河にも出てきてたよな。誰の名前だっけ。……ああ、そうだ。確か。


「かかれ柴田だ……」


 そう呟いたら、目が開いた。そりゃもうパチっと。そんでもって、俺の顔を覗き込んでいる二人と目が合った。


「おお、喜六よ! 気がついたか!」

「喜六郎さま!」


 ……え? なんでサムライと熊がいるの?


 俺の手を握って涙を流しているサムライは和風のイケメンだった。一重だけど、鼻は高くて細面だ。コスプレしてる同僚かと思ったけど、こんな顔の奴は同僚にはいない。イケメンは天敵だからな。嫌でも目に入って顔を覚える。でも、こんな顔の奴はいなかったはずだ。派遣の線もあるけど……わざわざ俺のとこに様子を見に来るはずがない。来るとしたら、庶務にいる同期の中島くらいだろう。でも中島は俺とどっこいどっこの平凡顔だ。間違ってもイケメンじゃない。

 それにこのサムライの髪型はいわゆるチョンマゲだ。どう見てもカツラに見えない。年は二十代後半ってとこだろうか。


 そしてその横にいる熊みたいなムサイ男にもさっぱり見覚えがない。熊というか鬼瓦というか。とにかくよく言えば野性味のあふれる顔をしている。悪く言えば……うん。まあ、熊だな。髭もボウボウだしな。


「一時は心の蔵が止まってもう駄目かと思ったぞ。良かったのう、喜六」


 イケメンサムライが俺の手を取って涙を流す横で、熊もウォンウォンと泣いて手で目をこすっている。チラリと横を見ると、他にも着物を着た人たちがいて、全員が涙ぐんでいる。


 ちょっと待ってくれ。何このカオス。


 俺はただのアラサーのサラリーマンで、キロクなんて名前じゃないんだけども。


 だけど目の前には着物を着た人しかいなくて、部屋もどう見ても和風だ。そして俺はキロクと呼ばれている。


 ってことは……






 もしかして、異世界転生した!?








 なんて、思ってた時がありました。


 確かに転生ではあるんだと思うけど、俺が転生したのはどうも織田家の六男らしい。いやだって喜六、っていうんだから六男なんだろうなぁと思うだけだけどね。

 で、俺こと喜六はお伴を一人も連れずに馬で走ってたら、川で狩りしてた叔父である織田マゴジュウロウって人の家臣でスガサイゾウって奴に、不審者ってことで弓で射られたらしい。

 馬から落ちた俺を見て、マゴジュウロウ叔父さんはそりゃもう驚いた。なんといっても主家の織田家の六男を、勘違いとはいえ射殺しちゃったんだから、当然だよね。ちなみに馬から落ちた俺は、心臓も止まってたんだって。末森に着いた時にはまた心臓が動いてたらしいから、馬の背で自然と心臓マッサージでもされてたのかね。よく分からんけど。


 そんでもって死んだと思われた俺をとりあえず俺が暮らしてる末森城に運んだ後、マゴジュウロウ叔父さんは、家長である信長の報復を恐れて籠城してるってことらしい。←イマココ


 弟に怪我させたってことで末森城を治めてるカンジュウロウ兄ちゃんは、マゴジュウロウ叔父さんのいる守山城を焼き討ちしろと叫んでて、それを権六、つまりカンジュウロウ兄ちゃんの家来である柴田勝家がなだめているという状況なのだ。


 いや、まあいいんだけどさ。俺、一応けが人なのよ。肩も痛いし、頭も痛いし。だから枕元で二人で怒鳴りあわないでくれないかなぁ。


 そんな俺の願いは、ある意味かなえられたけど、更に状況はひどくなった。


 体が起こせないからよく分からんけど、パーンと襖だか障子だかが一気に開け放たれた音がしたと思ったら、ドシドシと畳を踏む音がして、ヌゥっとそのまま俺を見下ろした男がいた。あの、頭のてっぺんがハゲてるチョンマゲじゃなくて、バカ殿みたいなチョンマゲの男だ。でもその顔はバカ殿とは似ても似つかない。鷹のような目とでも言うんだろうか。眼光が鋭く、威圧感に満ちていた。


「兄上!」

「殿!」


 うん。それでもうこの男が誰だか分かっちゃうよね。


 馬を飛ばして駆けつけてきた、家長の織田信長が到着したのだ。


 さすが戦国時代最大のヒーロー、織田信長さんだ。マジでパネェ威圧感だぜ。

 しかも信じられないことに、転生? した俺のお兄様である。

 いや、もしかしたら、これって現実じゃなくて長い長い夢を見てるだけかもしれんけど。夢だとしたら、起きても覚えてるといいんだけどな。こんなにリアルな夢なんて、そうそう見れないだろうしな。


「喜六郎。供回りの一人もつけずに、なぜ松川へ行った」


 なぜって言われてもな。目が覚めるまでの記憶がないんだよな。記憶喪失なんです、って言ったら、赦してくれるかな。


「答えよ、喜六郎!」


 ビリビリと辺りが震えるほどの声に、まだズキズキしてる頭が更に痛みを訴える。思わず顔をしかめると、俺を庇うようにカンジュウロウ兄ちゃんが俺の顔の前に左手をかざした。

 うわぁ。この激おこ状態の信長サマに立ち向かえるって、カンジュウロウ兄ちゃんは勇者だな。


「兄上。喜六は先ほど意識を取り戻したばかりです。そのように無体はなさらないでくだされ」

「喜六は幼いといえども織田の者だぞ。お主のように甘やかしていては、立派な男にはなれん」

「それよりも守山の焼き討ちを命じてください。誤射であったとはいえ、喜六を殺そうとした罪、許せませぬ」


 いきり立つカンジュウロウ兄ちゃんに、信長サマは眉間に皺を寄せた。


「……ならぬ」

「は? 今なんと」

「焼き討ちはならぬ、と言った」

「ではこのまま許すということですか!? でも、それでは道理が通りません!」

「喜六を射た洲賀才蔵は斬首及び一族も追放とするが、孫十郎叔父はしばしの謹慎とする」

「そのように甘い仕置きでは、織田家が侮られます!」

「しかし、こたびの件は喜六にも責がある。焼き討ちまでしては、後の禍根になろう」

「しかし―――!」

「こらえよ、勘十郎。わしも思う所がないではないが、大和守を討ったばかりで、まだ領内が落ち着いたとはとても言えぬ。ここで家中を割る事にでもなれば、これ幸いと仕掛けてくる者がいよう」

「ですが―――」


 そのまま兄弟喧嘩が勃発しそうな勢いに、俺は慌てて口をはさんだ。

 ケンカをやめてー。俺の為に争わないでー。


「カンジュウロウ兄上、兄上のおっしゃる通りです。私にも悪い所がありました。それに幸い、命は助かったのです。これ以上の争いは避けたく思います」


 なんかボーイソプラノの声で喋ってるな、俺。

 それに敬語とか使い慣れてないんだけど、こんな感じでいいのかね。お兄さんズは普通に聞いてるからいいんだろうな、きっと。


 あと、信長サマってなんて呼べばいいんだろうね。柴田勝家が権六で、カンジュウロウ兄ちゃんも多分、織田ノブなんとか、って名前だろうから、多分通称で呼んでるっぽいんだけど、信長の通称ってなんだっけ。あ、あれだ、三郎信長。ってことは三郎兄上って呼んでればいいのかな。


「それからスガなにがしも、家族までは罪に問わないでください。本人も斬首ではなく―――」


 と、言いかけたところで、カンジュウロウ兄ちゃんが凄い顔で振り返ったから諦めた。

 ああ、うん。これ以上の減刑は無理ぽ、ってことね。


「喜六の心根が優しいことは知っておるが、それはならぬ。本来は威嚇するだけで良かったのを肩に当てたのだからな。当たり所が悪ければ死んでいるところだった。喜六と知っておりながら、翻意をもって射たのだと言われても仕方がないことなのだぞ」

「分かりました。ではすべて兄上たちにお任せします」


 そう言うと、どっと疲れが全身を襲った。

 いやもう、夢なら夢で覚めて欲しいんだけどな。そうでないとしたら……この先、どうなるんだろうな。


「薬湯を用意させた。それを飲んでゆっくり養生するといい」


 眉間の皺を緩めた信長サマが、いつの間にかカンジュウロウ兄ちゃんの反対側に陣取って俺の顔を心配そうに覗きこんでいた。

 これはあれだな。ツンデレってやつだな、きっと。


 俺はにこっと信長サマに笑ってみせると、そのまままた気絶するように眠った。









 それからの俺は眠っては起き、眠っては起きを繰り返してたんだが、一週間ほど寝込んだ後は、なんとか体が起き上がるようになってきた。


 それにしても戦国時代、怖いな! 矢で射られた傷に馬の糞を塗ろうとするんだぜ! あと消毒で人のおしっこ飲ませようとするとか、訳が分からないから!

 慌てて傷口に水を流して、綺麗な布を当てたさ。それから硬いご飯を食べさせようとするから、おかゆを作ってもらった。


 なんていうかね、現代の生活がいかに恵まれていたかを痛感したよ。ご飯は硬いしまずいし、おかずもしょっぱいしね。しかも肉とかは一切ないし。卵もないから、当然卵とじのおかゆもない。あと味噌汁はダシなしの味噌汁だ。だしの素が切実に欲しいよ。


 それから夜が真っ暗なのが困るんだよな。ロウソクもないから、夜中にトイレに行きたくなっても真っ暗で行けないんだよ。一応、病人の間はお付きの人っぽいのがトイレっていうか、この時代の言葉でいうと厠に連れていってくれるけどさ。いくらまだ俺が子供だからっていっても、それでも結構恥ずかしいものがあるんだよ。


 とはいえ、だ。どう考えても、俺は死んだか何かして、この世界に来たんだろうなぁ。いわゆる、憑依か、とも思ったけど、最近はうっすらと喜六郎の記憶ってやつも蘇ってきてる。

 つまりこれはあれだ。よくある転生ものの、階段から落ちて頭を打って前世を思い出したってやつだ。

 俺の場合は馬だったけど。


 それでもって、ここは戦国時代の織田信長の生きてる時代だ。俺はその織田家の八男になる。喜六郎なのに八男とはこれいかに。信長兄上も次男なのに三郎だしな。そこら辺は適当なのかもしれんね。

 年は数えで十歳になる。現代でいうと九歳くらいなのかな。

 あ、二十代後半だと思ってた勘十郎兄ちゃんはまだ二十歳そこそこだった。頭のてっぺん剃ってるから、老けて見えただけらしい。


 ちなみに姉に戦国一の美女と名高い市姉さまもいる。今は美少女って感じだ。その上の犬姉さまも美少女だ。織田家が美形揃いっていうのは本当らしい。

 そして俺は市姉さまにそっくりと言われている。

 つまりあれだ。戦国一の美少年てわけだ。嬉しくないけどな。

 いやだって、この時代ってさ、ホモが当たり前なんだぜ!? 俺の顔見て顔を赤らめる熊とか、見たくなんだよ!

 それと勘十郎兄ちゃんと、家来で元小姓の津々木蔵人がイチャイチャするのも見たくないからね!


 ちなみに俺たちの親父さんはもう四年前に死んじゃったから、嫡男の三郎信長兄上が家督を継いでる。いや、実は信長って長男じゃないんだよ。その上に信広って庶子がいるんだ。しかも戦上手で、死んだ親父さんからも可愛がられてたらしい。


 うわぁ。これって謀反の兆候アリアリじゃないのか?


 大学時代の親友の山田が結構歴史好きでよく語ってたけど、確か信長って自分から同盟を破ったりしたことってないんだよな。それで兄弟にも甘くて、兄と弟が謀反を起こしても、一度は許してるんだとか。

 ただし、弟は二度目の謀反を起こしたから、その時は許されなかったらしいけど。


 ん? 弟?


 いやいやいや。俺は謀反なんてしないよ。戦国時代であっても平和が一番だからね。


 と、そこで信長兄上と性格が合わなそうなもう一人の兄のことを思う。うーん。勘十郎兄ちゃんって、信長兄上とは性格が合わなそうだよなぁ。しかも、勘十郎兄ちゃんの家来の美作守ってやつが、何かっていうと勘十郎兄ちゃんを持ち上げて信長兄上を下げるんだよな。どー見ても、うさんくさいんだよな。


 勘十郎兄ちゃんは、真面目で義理堅い。その反面頭が固いけど、織田家だけを考えるなら、当主としても十分やっていけるとは思う。部下にとっても、理解しやすい上司だし、言い方は悪いけど傀儡にしやすいんじゃないかと思う。


 でも信長兄上の目は、尾張一国のその先を見ている。だからこそ先進的すぎて理解されない事が多い。それでもって、傀儡になんてとてもじゃないけど、できないだろう。


 だけど今は戦国時代だ。食うか食われるかのこの時代で、勘十郎兄ちゃんが当主になったら、織田家はがっつり食われて終わるだろう。何と言っても、今川とか武田とかチート武将がうじゃうじゃいる時代だからね。お隣の斉藤義龍だって、尾張を食おうと虎視眈々と狙ってるはずだ。


 その中で生き残ろうと思ったら、信長兄上の才覚に頼るしかないんだけど……それをこの時代の人たちが理解するとも思えないんだよなぁ。

 それでも本能寺の変までは信長兄上は生きてるはずだから、何とかなるとは思うんだけどな。


 その前に桶狭間の戦いがあったっけ。それに勝って、織田包囲網をくぐりぬけて……って、考えたら結構大変そうだなぁ。ああ、もっとちゃんと歴史の勉強をしておくんだった。特に戦国時代。


 できれば俺は戦いには出ないで、内政とかそっちをやりたいんだけどな。


 農家兼アイドルの五人組が出てるあの番組で見て、田植えの仕方とかロウソクの作り方なんかはある程度覚えてるから、それで戦国時代の食生活の改善をしたいところだ。あ、他の番組で真珠の養殖とか硝石の作り方なんていうのも見たな。


 あとは風呂だよな、風呂。この時代の風呂って蒸し風呂っていうか、サウナみたいなのしかないんだよ。小屋の中に熱した石を置いて、そこに水かけて蒸気で汗を流すだけなんだ。一週間ぶりに風呂に入れるぞーって喜んだのにさ、お湯につかれないなんて肩すかしだよ。まだ矢傷が完全に治ったわけじゃないから全身お湯につかるのは無理だとしても、半身浴くらいはできると思ったのに、がっかりだ。


 しかも石鹸がないから体が綺麗になった気がしない。確かムクロジって木の実か何かが石鹸の代わりになるんじゃなかったかな。


 そうだ。確か歴史オタクの山田が尾張温泉っていうのが蟹江町にあるって言ってたから、そこら辺掘ってみれば温泉が出るんじゃないか? どれくらい掘れば出るのか分からんけど。あと蟹江町っていうのがどこかも知らないけど。

 尾張温泉っていうくらいだから、尾張にあるんだろうと思う。っていうか、俺の快適なお風呂タイムのために、存在しててくれ。


 ひょんなことで織田家の八男に生まれ変わっちゃったみたいだけど……なったからには、精一杯生きて行こうと思っています。


 とりあえずの目標は、ロウソクを作って夜の厠タイムを快適にすることだけどね! さすがに十歳になっておねしょは恥ずかしいからね!


 えーっと、ロウソクはハゼの実を使って作るんだったよな。じゃあ誰かに採ってきてもらわないとだめだ。

 俺は今、信長兄上に自宅謹慎を言いつけられてるからな。


 うん。毎日お見舞いに来てくれる信長兄上に、誰か手伝ってくれる人がいないか聞いてみよう。秀吉ってもう兄上の家来になってるのかな。犬こと前田利家はもう信長兄上の家来になってるから、秀吉が来たら、勝家が熊だから、熊と犬と猿で動物園みたいになるな。


 織田信長の弟に喜六郎なんていたのか、いなかったのか。それすらも知らない。

 だけど俺が今、織田喜六郎なのは確かなんで―――とりあえず、死なないようにしながら、織田家の八男をやってみたいと思います。

短編でちょこっと書こうと思っただけなのに、書くのに一カ月かかったのは、資料が膨大なせいです。

今でも戦国時代の相関図はイマイチ理解しきれていません。ですので、勘十郎兄上と呼ぶのが正解なのか、叔父は信次叔父と呼ぶのかどうか、そこらへんも謎のまま書いております。

あ、歴史好きの皆さんはご存知でしょうけど、勘十郎兄ちゃんは織田信行で、孫十郎叔父さんは織田信次です。そして現時点で喜六郎は元服していない設定なので、喜六郎としか呼ばれていません。幼名も分からないし、このままです。

喜六郎の年齢に関してですが、八男で「信長公記」に書いてある15歳くらいだと、四男である織田信包(当時12歳)との年齢が一致しないので、数えで10歳にしました。八男の方が年上になっちゃいますからね。まあ、ファンタジーということで、よろしくお願いします。


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