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Virus suit actor  作者: 大根屋
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7話「特殊生物研究所」

闇から光を生み出すことは出来ないが、光から影を生み出すことは容易である。

見知らぬ部屋で目が覚める。真っ白で無機質、殺風景な部屋だ。


「ここは病院かなんかなのか…?」


今の自分の状況をすぐに理解できなかった。記憶が曖昧である。


不意に目の前の扉が開いた。


「おはようございます。恭一様。」


聞いたことのない声がした。


「お前は…誰だ…?」


ベッドから重たい身体を上げ、その顔を見る。

そこには優しい顔の白衣を着た青年が立っていた。


「申し遅れました。僕は『黒田 輝』と申します。この研究所の副所長をしています。」


「研究所…?」


あまり聞き慣れない言葉に思わず聞き返した。


「はい、この研究所は『特殊生物研究所』通称『特研』と呼ばれる研究所です。ここでは細胞や細菌の研究や、新種の生物についての研究等を行っています。」


それを聞くと俺の中で様々な疑問が生じた。


「その『特研』とやらが俺に何のようだ…?なぜ俺はここにいるんだ?」


「今回のゾンビの件であなたの体に異常がないかを調べさせていただきました。その調査が終わってあなたはここにいるのです。」


「ゾンビ…」


急に頭の中で妙に鮮明な映像が流れ始める。なぜ忘れていたのか不思議なくらいに。


「あ、あゆみは…あゆみはどうなったんだっ!?」


それを聞くと黒田さんは淡々と言った。


「あゆみ様は死にました。」


「…え…?」


雷のような衝撃が全身を走る。


「あゆみが…死ん…だ…?」


「ええ」


「俺は…あゆみを…救えなかった…?」


黒田さんは少し大きな呼吸をする。


「恭一様が悪いわけではありません。悪いのはゾンビです。傷があまりにも酷すぎただけなのです。」


それでも自分を責めずにはいられない。


「俺が…もっと強かったらよかったんだ…そうしたらあゆみは…」


「力が…欲しいのですね。」


急に言葉が強くなった。


「もう悲しむことはしたくない…そうですよね?」


「…何がいいたい…。」


「ゾンビのことが憎いですよね…?」


「…ああ…当たり前だ。」


黒田さんは少し口角が上がった。


「それならば…こちらにいらっしゃってください。」


それを言うと黒田さんは扉を開けて出ていってしまった。


俺は黒田さんに言われるがままついていくことにした。





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