旅立ちの日に……
やぁ……待たせたね……え?待ってない?
そんなぁ( ;´・ω・`)
『グァアアア…』
「「……」」
双方、なんて言い方を、していいのかわからないが
ワイバーンとのにらみ合いが続いてる
(くそ…さすがに10匹はキツいな、なにかと)
さっきの戦いから考えて
ワイバーン一体の強さはそれほどではないと言う事がわかった
しかし
(10匹は…なぁ、スキル連射すればいけるか?いやダメだゼツさんがいる)
フレンドリーファイアはごめんだぜ?とユウキは考えながら策を練る
でもやっぱ勝つには…
「…ゼツさん、離れていてください」
これしかねぇだろ
「…秘策があるんだね?」
「えぇ勿論」
未だゼツさんにも見せていなかった俺の本気を見せてやる!
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーー
まだ二週間程前の話だから
今でも昨日の事のように思える
…………あのあと
俺はなんとかワイバーンを倒すことが出来た
でも、ワイバーンの殆どがゼツさんに集中して…………
ゼツさんはもう二度と冒険者として復帰することの出来ない体になってしまった
「…もう、二週間も経つんだな」
ウェノ村の門を眺めながら
俺は呟いた
俺は……村から出ていく
しかし門から出て少しの事だった
「ユウキ!何しけた顔してるんだい!!」
「……!」
声に反応して振り向くとゼツさんが立っていた
「君は高みを目指せる男だ、頑張って!
ホラッ!!」
ゼツはユウキへ二本の剣を渡した
「僕の命だ、使ってほしい」
そう頭を下げて言ってきた
「……とう……ざいます」
ダメだかすれてしまう……でもちゃんと言わないと
「ありがとうございます!」
異世界に来てから一年半
ユウキはウェノ村を後にした
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー
ウェノ村~数百㎞離れたフリハイド村
「はぁっ……ふう」
黒髪黒目の少年が畑を耕していた
あと少しで9歳になる神野だ
「おぉい!友裕!もう上がって良いぞ?」
「あいよー」
村人の男に言われて神野は畑仕事を止める
「ふぅ……」
「お疲れ、トモヤ」
「ありがと、ミア」
一息ついた神野へミアと言う少女が冷たい水を差し入れた
神野はニコッと笑ってお礼を言うと水を飲んだ
「やっぱり仕事の後に飲む水って最高だよな」
「ふふ、なんか言動がおやじ臭いよ」
「あはは、ほっとけぇ」
二人はどこまでも楽しそうに話していた
中性的で顔の整った神野に金髪蒼眼美少女のミア
二人は実に絵になっていた
「ねぇ、トモヤは本当に良いの?」
「何が?」
「こんな田舎町に留まらないで、冒険者とかになったり
頭良いんだから学校行ったり」
「あぁ……その事か」
知っての通りトモヤは地球にいた頃からかなり優秀だ
総合格闘技有段、剣術は何流派かは免許皆伝の実力だ
そして頭は常に学年トップクラス
そしてそれは異世界へ飛ばされ
女神からチートを貰ってなくても変わらなかった
「私だったらすぐ出てっちゃうかな……この村何も無いしパパもママも鍛冶ばっかりでつまらないし」
「……そんな事言うもんじゃねぇって」
神野はミアを少し咎めた
「……ごめん、トモヤの前でこんなこと言って」
「いや、良いよ」
前に書いたと思うが神野の親は二人とも既に死んでいる
「とにかく、俺は冒険者には興味ない
ここでのんびり暮らしてぇんだ……その、お前も居るしな」
「えっ!?//////」
どうやら一から出直した少年の一年半は思ったより長かった様だ
「その、ミア……お前さえよければだけど」
「まって!」
神野が告白しようとしたところでミアが遮った
「ここからは、私に言わせて」
「う、うん////」
自分の心臓の鼓動が早くなるのを感じた
「トモヤ、いや、トモヤ・ジンノさん
一年前、貴方が私を魔物の群れに囲まれた時
貴方は勇敢に私を助けてくれました」
「……////」
ちなみにこれは語られてはいなかったが
ゴブリンに囲まれたことがあり其処をトモヤが助けたことがあったのだ
「一年前、私を救ってくれたあの日から
私は貴方の事が好きでした。
愛してます、どうか私と結婚を前提に付き合ってください!」
「もちろん喜んで!」
二人は瞳に涙を浮かばせながら抱き合った
この日フリハイド村にはひとつのカップルが誕生した
……話が飛ばし飛ばしなのは後で外伝でも書けばいいかな?と……




