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蝶のように舞う少女

聖夜は暫くの間、彼女の姿に見惚れた。


少女は白く透き通るベールを被り、手には銀色の刺繍が入った長いストールの様なものが、彼女の白い中指についている金色のリングから流れる様にしてついている。

そして彼女は後ろ裾が長い純白のドレスを着ていた。

そのドレスから覗く白い足は靴を履いておらず、金色のアンクレットが少女の足首で光に反射しキラキラと輝く。

少女の額につけられたヘッドティカは、三日月形のダイヤモンドとルビーが向き合うような飾りだ。


腰まである銀色の髪を揺らし蝶のように舞う少女は、どこか浮世離れした美しさをもっていた。



「――誰……?」


少女が振り向き、聖夜を見る。


「――っ!?」


その眼は、聖夜が知っているものとはまるで違った。


左眼は金色、右眼は紅色のオッドアイ――……


「……その、眼……ルナじゃ、ない……?」


「…………」


少女は何も言わず、ゆっくりと聖夜に近づく。


「――二度と、ここへ来てはいけない」


そう言う彼女の目は酷く冷たいものだった。


そして、どこか悲しそうに見えた……。



その時、突然聖夜を激しい頭痛が襲う。

意識が徐々に朦朧となり、途切れる寸前少女が呟いた。



「――貴方と私は、住む所が違う……。一緒にいてはいけないの……」









「……──ャ……セーヤ」



自分を呼ぶ声が聞こえ、聖夜は目を開けた。

ぼやけていた視界が徐々にはっきりとしてくる。


「……ルナ……?」


そこには銀色の髪をもつ少女が聖夜の顔を覗き込んでいた。


「セーヤ……? だいじょーぶ……?」


聖夜は思わず彼女の瞳を凝視した。


「――違う……」


「え?」


目の前にいる少女は、聖夜の知っている“ルナ”の眼――桜に似た薄い桃色をしている。

それに、着ている服も違った。

昨日の夜に見た彼女は白いドレスを着ていたが、目の前の少女は昼に出会った“ルナ”と同じ、自分の瞳と同じ色をした着物に薄い紫色の帯をしている。

飾りは一つもつけていなかった。


「――なにがちがうの?」


「――え、あ……何でもない」


「??」


ルナは首を傾げ、顔を聖夜に近づけた。

聖夜は少し後ずさろうとして、自分が木に寄りかかるようにして座っていたことに気付く。


「ねぇ、ルナ――」


すっと立ち上がると、聖夜はルナに問いかけようとした。


――だが。


「んー?」


自分を見上げる彼女の瞳は相変わらず澄んでいた。

何も知らない、無邪気な瞳――……

そのせいか、聖夜は何も聞くことができなかった。


「っ――……なんでも、ない……」


そう言って聖夜は森を出ようと歩き出そうとしたのだが、ふと立ち止まる。

……というより、止められた。


「セーヤ」


ルナに手を掴まれたからだ。


「ケガ、してる」


「え?」


そう言われ、ルナの目線の先にある手の甲に目を向けてみれば、そこには切り傷がありそこから血が滴り落ちていた。


「あれ、いつのまに……」


「…………」


ルナはその傷をじっと見つめ、それを覆い隠すように手をあてる。

そして――


「――っ!?」


ルナが手を放したとき、聖夜の手にあったはずの傷は――



――消えていた。




「――どうして……? 何を、したの……?」


聖夜が茫然と傷があった場所を見つめながらルナに問いかける。



「ひみつー」



しかしルナはそう言って無邪気に微笑むだけだった――……





ここまで読んでいただき、ありがとうございましたっ!!


なんとなく不老不死の少女の話が書きたくなり、ノリで書いちゃいました笑

あと息抜きみたいな感じで……。

受験生なのに、活動停止とか書いてるけど、バリバリやっちゃってる私←


本当は短編にしようと思ったのですが、なんか思ったより長くなりそうだったので連載にしちゃいました!


また受験生というのもあるのですが、今は主に【名も無き物語~あなたは幸せなBadendを知っていますか?~】のほうを書き進めていきたいと思っているので、不定期更新となります。

(主に進めてる作品も不定期更新だけどっ(泣))


こっちも読んでみてくださいな←


……っとまぁ長くなってしましましたが。

読者の皆様に楽しんでいただけるよう私なりに頑張っていきますので、これからよろしくお願いしますっ(>_<)



※ちなみに今回の話に出てきた“アンクレット”というのは、足首につけるブレスレットのようなものです。





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