僕の側に君がいた
学校の屋上で寝そべりながら、僕は1人空を見上げる。
たった1人で空を見上げる。
僕の周りにはいつも君がいた。
いつもいつも君の笑顔がそこにあった。
君は僕が告白した時のことを覚えているかい?
あぁ、そうさ。
この屋上でだったな。
君の恥ずかしそうな顔が眩しかった。
君と初めて手を繋いだのもこの屋上だった。
君と初めてキスを交わしたのもこの屋上だった。
君と愛を分かち合い、将来を約束したのもこの場所だったよな。
それなのに……
今、僕は1人でここにいる。
なぁ、なんで君はいってしまったんだ?
なぜ僕を1人にしたんだ?
……。
あぁ、分かってるよ。
僕は生きなきゃいけないよな。
君のためにも。
君は最後の最後に言ってくれたよな。
苦しいはずなのに、そんな力は残って無いのに、僕の手をギュッと握って言ってくれたよな。
弱々しい声で
「幸せになって」
ってな。
分かってるって。
君との約束は絶対に守ってみせる。
君の分まで幸せになってみせるから。
でもさ、たまにはいいだろ?
君のことを思い出して、君のいる天国を下から眺めるくらい。
君は僕にとって特別な存在だから。
君と少しでも近くにいたいから。
……。
今日の空はとてもとても高かった。
あぁ、だから秋は嫌いなんだ。