表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/44

第二十四話

 前話に対し、こちらはサクっと。

 ハラハラとしていただければ良いのですが……


 泥が、セレスたちを薙ぎ払った。地面に叩きつけられ、痛みに悶えている。

 あれでは、次の攻撃はかわせない。


――シルファさん、セレスたちの魔法でも、止められないんだ……


 アリアムは思う。

 このままじゃ、ダメだ。

 シルファを止められない、どころか、あの二人までも失ってしまう。

 このままじゃ、ダメだ。

 二人が危ない。

 何とか――何とかしなくては。


――カチリ。

 奥歯が鳴った。

 痛みが消える。


 気付いたときには、足は動いていた。

 震える膝が、自然と前に出る。

 彼らを庇うように。

 嵐を目前にして、とある記憶が脳裏に浮かぶ。

 それは、先日の夜のこと――シルファが、水の魔法を使っていたこと。

 そして、遠い昔――祖母とやった実験のこと。


 直感だけを頼りに杖を手放し、アリアムは両手を前にかざした。


――シルファさんは、水の使い手。この魔法も、泥ではなく、“水”を操っている。だからあのとき、ナタスさんの炎を受けて乾いた泥は、操れなかった。


 現在の状況判断、自他の戦力分析、己の持てる能力の評価、その限界値の評定、それらを加味した応用の考察――

 思考が流れる。


――わたしには“空気中の水蒸気の分解”、“体内物質の生成”、“摩擦熱による発火”、“引火”の四つの行程を順にやる炎の魔法なんて使えない。

 でも、 “水の分解”――それだけなら。


 祖母との記憶を手繰る。

 まだ小さな頃のことだったが、その映像は鮮明に覚えている。


――水の分子式は“H2O”。つまり、酸素と水素に分けるということ。

 水の分解はやったことがある。たしか、電気を流していたっけ。あの棒は……鉛筆の芯だった。鉛筆は炭と同じようなものと聞いたから……炭素か。よかった。それなら、体の中にたくさんある。今朝、パンを食べたし……


 自分の想像に、ほんの少しだけ笑ってしまった。

 おかげで、肩の力は抜けた。

 てのひらに、意識を集中する。


――両手に炭素を集めて、泥が当たった瞬間に…… ううん、それじゃダメ。間に合わない。

 そうだ、空気中にも水はあるんだ。なら、それを通じて、直接作用させれば…… 


 掌の神経を流れる、微弱な電流。その電位を、一瞬だけ強める。

 右手を正極に、左手を負極に。

 右手から電気を発し、泥を通して、左手でそれを受ける。

 活目。無心。瞑想。


――できるかな……? ううん、やらなくちゃいけない。やらなくちゃ、二人が……!


 我は世界、世界は我。

 我の見しものが我の世界。

 我の思いしものが我の心。

 我が心とともに世界は在り、世界は我が心で成立する。

 我が心に応えよ、我が世界――。


「――分かて!!」


 掌が輝き出す。

 純白の光。

 どこまでも透き通り、どこまでも清らかな、聖なる光。

 そう、思えた。




 純白の輝きが、赤い光を呑み込んでいく。

 徐々に、徐々に、嵐が鎮まる。


「私の、魔法、が……」


 次第に力を失っていく感覚を噛みしめながら、シルファはそれでも、力を込める。

 ほんのわずかだけ、勢いが甦る。

 しかし――


「もう、終わりです。シルファさん……」


 その全てを、アリアムの光は――アリアムは“受け入れた”。

 嵐が晴れる。

 そしてアリアムは、彼女を――友を止めるべく、力を振り絞って地を蹴った。


「私は、倒れるわけにはいかない! 何を“犠牲”にしても、必ず死を払い、あの子たちを甦らせる……それまでは、その日までは!!」


 シルファが、叫ぶ。

 力を使い果たし、支点の定まらない身体で、それでも、なお。


「だから、どうしてそれが――」


 アリアムも叫ぶ。

 ずっと思っていたこと。

 『何を犠牲にしても』――得られるものは同じ。それを、自分はこの十年で思い知った。

 祈って、願って、それでも神は救ってはくれなかった。

 その気持ちは、痛いくらいによくわかる。

 けれど、


「――どうしてそれが、矛盾しているということに気付かないの?」


 死を払うために、他の何かに“死”を与える――

 死を無くそうとして、その結果に死を生み出している――

 自分の痛みを言い訳に、他人に傷を強いることを正当化している――

 大きな、とても大きな、矛盾。

 それは――それだけは、絶対に間違っている。


「もう、やめましょう…… シルファさん――」


 嵐の晴れた闇に、小さな音が響いた。


 いかがでしたでしょうか?

 ようやくバトルシーンも終わり、あとは大団円……となるんでしょうか? 変なのも出してしまったし……

 ところで自分で自分にツッコむことになりますが、アリアム、“水の分解”以外にも、“体内物質の生成(炭素)”をやってますよね…… 全然不器用じゃないし……

 にしても、盛り上げ方“も”下手ですね。もう全然ダメダメ…… もっと上手くなりたいです。

 

 愚痴が多くてごめんなさい。

 図々しいのは百も承知ですが、どうぞ皆様の批評をお聞かせ下さい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ネット小説ランキング>異世界FTシリアス部門>「Moon at Tomb」に投票 ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ