ジョゼと虎と魚たち(1)男が捨てたくなる女
「ジョゼと虎と魚たち(2003)」 B
○作品概要
妻夫木聡・池脇千鶴・犬童一心監督作品
助演は上野樹里(当時17歳)
足が悪いためにほとんど外出をしたことがないジョゼと、
大学を出たばかりの恒夫との純愛を描く、
どこかエロティックなラブストーリー。
田辺聖子の短編小説を
脚本家(渡辺あや)が違った結末に仕立てる。
田辺聖子の他の作品を読んで思ったのは、
フランソワーズ・サガンとは全く異質の作家ですね。
本作のジョゼは
サガンの小説で登場するジョゼとは
まったく真逆な性格だと思います。
気が強くて「してもええよ」
と言われても素直になれないと思う。
ごみ捨てでの口けんかで
恒夫に帰れと言うが、僕も帰ってしまう。
淡々と進むところだけサガン的です。
最後のオチを知ってから、
再度観るとホロリとさせます。
この映画の味がでてきますね。
本作の泣き所はラブホテル「お魚の館」での
ジョゼのつぶやくところ
本作のプロデューサーは
この場面でオンオン泣くらしい。
それは理解できます。
「なぁ 目閉じて 何が見える」
「なんにも(恒夫) 」
「そこはウチがおった場所や
深い深い海の底
ウチはそっから泳いできたんや」
「なんで?(恒夫)」
「あんたとウチが
一番Hなことをするために」
「そうか!
ジョゼは海底に住んでいたのか(恒夫)」
「そこには光も音もなくて
風も吹かんへし雨も降らへんで
しーんと静かやねん」
「さみしいじゃん(恒夫)」
「別にさみしくはない
はじめからなにもなんのやもん
ただ ゆっくりゆっくり
時間がすぎてゆくだけや
うちはもう二度と
あの場所にはもどらへんのやろ
いつかあんたが
おらんようになったら
迷子の貝殻みたいに
ひとりぼっちで海の底を
ころころ転がり
つづけることになるんやろ」