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小説作法 ヴァージニア・ウルフは、こわい? 意識のながれ
ヴァージニア・ウルフは、こわい?
心に落ちる微粒子を、落ちる順序通りに記録。
筋は重要ではない。
意識のながれ。
作家ヴァージニア・ウルフは、1925年(大正14年)、
伝統的な枠組にとらわれない表現を追求しようとした。
4作目の「ダロウェイ夫人」で、
「意識のながれ」を主眼にした実験小説を書く。
ヴァージニア・ウルフは、現代小説論で主張する。
「捨象・選択・秩序づけなどの行為を一切拒否」
まとめることの拒否である。
従来の小説作法で
半ば当然とされた「要約」や「性格」や「心理」に背を向けた時、
作家が向かい合うのは現実の人間であり人生である。
「(小説には)筋は重要ではない」
ウルフの小説手法に夏目漱石は影響を受けたと言うが、
漱石は、筋も重要と考えていたように思える。
筆者は、筋がなければ読みたくないと思っている。
夏目漱石の書いた小説は面白いが、
ヴァージニア・ウルフの小説は、心の風景画が並ぶようなものに思える。