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めぐり逢い(8)~淀川長治解説

レオ・マッケリー監督の名作の『めぐり逢い』、この話をしましょうね。


この映画、後にまた映画化されましたね。


私はこの映画観て、本当に鬼の目にも涙、もう思わず涙が落ちました。


というのは、奇麗な奇麗なお話なんですね。


一番最初は、シャルル・ボワイエとアイリーン・ダン、これ演りまして、レオ・マッケリー、奇麗なお話。


二度目はケーリー・グラントとデボラ・カーでしたね、


見事な映画。


これはね、お船の中でね、全然知らない同士が「こんにちは」「こんにちは」、


昔は船は三日も四日も五日も航行しますね、


そして知り合いになっちゃった。


そうして話してるうちに、一人は画家だったの、で、片っぽが「また、あんたとお会いしたいですねえ」と言ったの。


そういう訳で、まあ非常に仲良くなったの。


けれども、右と左に別れて上陸しました。


でも約束したの、二人がね、「いっぺん会いましょうね、あのエンパイアステートビルの上で会いましょうね」と言ったの。


そうして男は喜んで、その時間に行ったのね、12時15分に。


女の方も喜んで、12時15分にそこへ行くんだいうんで飛んでいったんですけど、


そのエンパイアステートの足元で自動車がぶつかっちゃって、


この女の人は足わるくして、上へ上がって行けない、病院へ行っちゃったのね。


「あたい、むこうへ行きたいの、あの屋上へどうしても行きたいんだ」言うんだけど、


「だめです、あんただめです」と言うので行かれなかった。


上では一時間、二時間、三時間、四時間、五時間、待ったのね、


とうとう来ないから、がっかりして帰って


「ああ、とうとう来なかったなあ、あの人は口先だけだったなあ」いうようなとこ、あったんですねえ。


そういう風な映画、最後はまた再会するんです。


二度目の方のデボラ・カーとあのケーリー・グラント。


これもその通りの映画だけれど、同じ監督ですから、奇麗な、奇麗な映画になったのね。


これも涙出ましたよね、これも良かった。


みなさんもうご存知でしょうけど、二人が会わない、男の方はがっかりした。


女の方は「会いたい、会いたい」思うのに会えない、足が悪くなっちゃった。


男は「やっぱりあの人、来なかったなあ、がっかりだなあ」と思って、


そしてそれが最後の最後に再会するところ、雪の日に、凄かったなあ。


という訳で、この映画は見事な愛の映画。


けれどもメロドラマというには、あまりにも上等な映画でしたね。


========


★鑑賞後の解説


それで皆さん、この『めぐり逢い』をご覧になったと思いますけど、これ又きっと映画になるでしょう。


その位美しい映画でした。


最後の方で、奇麗なあの女の人はどうしてるだろうか思ってました。


そうすると、この絵描きが絵の展覧会で絵を出したの。その時に女の人が絵を買って帰った。


「あら、ありがたいな」と思いました。


それからしばらくして、その彼女に会った時に、彼女は足が悪くって椅子に座ってました。


「そうか、あんたやっぱり足が悪かったなあ」思って、


ずーっと上見たら自分の描いた絵が飾ってあったの。


「あの時来たんだね、あの時来て買ってくれたんだね」いうようなラストシーンが確かあったと思います。


あれが凄かったな、いいラストシーンでしたね。


という訳で、『めぐり逢い』は、みなさん何度観ても涙があふれますよ。



【解説:淀川長治】

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