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フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


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『ティファニーで朝食を』に登場するホリー・ゴライトリーは日本人?

『ティファニーで朝食を』に登場するホリー・ゴライトリーは日本人?


小生は想像する。

『ティファニーで朝食を』に登場するホリー・ゴライトリーは、実在の女性だったのではないか。しかしトルーマン・カポーティは、彼女をあえて架空の人物として仕立て直したのではないか、と。


小説のなかで、ホリーの部屋の扉には「いつも旅行中」という立て札がかかっている。あれは洒落た設定であると同時に、彼女が決して捕まらない存在であることを示している。もしかするとカポーティ自身も、彼女の素顔をじかに見たことがなかったのではないか。だからこそ、彼女はつねに不在で、輪郭だけが語られる存在になった。


小生は、ホリーとは実際にはどんな女性だったのかが気になり、ひとつの仮説を立ててみた。

ホリーの下宿先の大家として登場するのが、画家であり大学教授でもある国吉康雄である。小説のなかでも、ホリーは国吉の絵のモデルとして紹介されている。


そこで国吉の絵画をあらためて調べてみると、ひとりの婦人が、時期を違えて何枚もの作品に繰り返し描かれていることに気づく。同じ眼差し、同じ佇まい。名も語られぬその婦人こそ、ホリーの原型だったのではないか、そんな思いがよぎる。


そして、ふと考える。

その婦人は、日系人だったのではないか、と。


ニューヨークという街で、どこにも属さず、自由でありながら孤独を抱えた女性。国吉のアトリエに現れ、そして消えていったその姿は、カポーティが最後まで掴みきれなかったホリーの影と、どこか重なって見えるのである。

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