恋愛地獄〜裸足の伯爵夫人(第2回)
裸足の伯爵夫人(第2回)
マリアが辿り着いた結末は、あまりに惨く、そして不可解だ。 (以下、物語の核心に触れる)
伯爵夫人の称号を手に入れ、愛する夫と結ばれたはずの彼女を待っていたのは、戦意を喪失させるような残酷な現実。夫である伯爵は、戦傷によって性不能となっていた。
そこで彼女が選んだ解決策こそが、この物語を「地獄」へと変貌させる。
彼女は他の男との子を宿し、夫に「あなたの子よ」と告げようとしたのだ。 夫への愛ゆえに、彼の血脈という形を守りたかったのか。 それとも、欠落したピースを埋めるための、彼女なりの純粋すぎる献身だったのか。
男性にとって、自分の種ではない子を押し付けられることは、尊厳を奪われるに等しい地獄だろう。事実、伯爵は彼女を射殺するという道を選んだ。 けれど、女の側からすれば、それは必ずしも悪意ではないことがある。そこが、この映画の最も恐ろしいところだ。
良かれと思って差し出した愛が、相手を死に至らしめる毒になる。 かつて淀川さんはこの悲劇を慈しみをもって語られたけれど、私は脚本家として、この埋められない男女の溝に戦慄を覚える。
愛という名の不義。 それは、どんな優れたシナリオでも書き換えることのできない、人間の逃れられない業なのだから。




