第2回:不義の子供と、男女の埋められない溝
第2回:不義の子供と、男女の埋められない溝
前回の続きです。映画「裸足の伯爵夫人」の物語は、華やかな成功から一転、地獄へと突き進みます。
(以下、完全なネタバレを含みます)
エヴァ・ガードナー演じるヒロインは、ジプシー育ちで奔放な魅力を持つ人気スター。 彼女はモナコで伯爵と出会い、電撃的に結婚します。
ボギー演じる映画監督は、彼女の後見役として心配していました。 世の中、そんなにうまくいくはずがない。必ず落とし穴がある、と。
その懸念は、結婚初夜に現実となります。 伯爵は戦傷により、性不能者となっていたのです。
ここからが、男性にとっての「地獄」の始まりです。 彼女は伯爵への愛ゆえに、あえて他の男との子供を作ろうとします。 「伯爵の跡継ぎを」という彼女なりの献身だったのかもしれません。
しかし、夫である伯爵は、密会現場に踏み込み彼女を射殺します。
妻が自分以外の種を宿し、「あなたの子よ」と押し付けること。 それは夫にとって、耐え難い屈辱であり地獄です。 けれど、女性側にはそれほどの罪悪感がないようにも見えます。
この男女の「不可解なまでの感覚の差」こそが、この映画の最も恐ろしいところかもしれません。 愛しているからこその不貞。それを許せない男の矜持。 雨に濡れるボギーの視線の先に、救いはあったのでしょうか。
銀幕ノート




