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監督はウツに~フランソワ・トリュフォー監督の恋 その4
カトリーヌ・ドヌーヴとの同棲は、ちょうど二年続いた。
監督と女優という関係は、まさに「職場恋愛」の典型と言えるだろう。
一般に、恋を盲目にさせる脳内物質ドーパミンの分泌期間は平均二年だと言われているが、まさにその期間で関係は終わった。
ドヌーヴはどうやら子供が欲しかったようだ。
一方、トリュフォーは自伝的映画「大人は判ってくれない」などにあるように、両親の離婚から孤独な少年時代を過ごし、ついには親によって感化院に放り込まれるという過去を持つ。
そのため、彼は家庭や家族に対する不信感が強かった。
監督は、ドヌーヴが別れを決意したことに気づくと、あえて自分から離れていったが、その後ひどいウツになってしまう。
彼はドヌーヴからの電話を待つ日々を送ったが、結局しばらく電話はかかってこなかった。
この行動からは、彼の恋愛における受身のタイプであったことが伺える。




