冷静と情熱のあいだ~(3)冷静的な恋愛と情熱的な恋愛
冷静と情熱のあいだ~(3)冷静的な恋愛と情熱的な恋愛
好きで別れたことほどつらいものはない。
高校時代に好きだった女性と、私が東京へ上京するという理由で関係を自然消滅させてしまった。そのことを、ぼくはずっと後悔している。
主人公の順正が「出て行け」と言って、それっきりアオイと別れてしまった。
あれから数年が経過しても、彼女を忘れることなどできないだろう。なんとか会いたいと思った時に、ある約束を思い出してしまう。それは 「10年後の誕生日に会おう」 という約束だ。
このようなパターンは、テレビドラマ 「めぐり逢い」 が元祖かもしれない。
日時指定の約束は、恋愛映画でストーリーを盛り上げる効果的な要素となる。
10年後の約束が気になりながらも、人間として生を維持するために、お互いに他の相手と交際、あるいは同棲する。これを不健全とか清くないと言ったら、人間味がない。 むしろ、 忘れようとして新たな恋人を作ったのかもしれない。
アオイはミラノでマーヴと同棲を始めるが、9年経過しても結婚はしない。それは、アオイがマーヴを愛していないからかもしれない。マーヴとは 「冷静」につきあい、アオイは順正とは二度と関係を持たないと決めているが、順正への「情熱」 は消えない。
順正も10年後の出会いを意識したのか、フィレンツェで絵画修復の修行をしていて、イタリアで知り合った芽実と同棲している。 この物語では、 芽実が一番人気だろう。
篠原涼子が演じているが、とても活き活きしている。順正は芽実を二番目の彼女としたいが、芽実は一番を望む。しかし、二番目がかえって気楽な位置であることもある。(結婚したら別だけど。)順正も芽実とは 「冷静」で、彼の秘めた「情熱」 はアオイに向けられている。




