アース・ウィンド&ファイア――4つ打ち(4ビート)をやめた、その先へ
アース・ウィンド&ファイア――4つ打ち(4ビート)をやめた、その先へ
1970年代後半、EWF(アース・ウィンド&ファイア)は「September」「Boogie Wonderland」で世界を熱狂させた。
だが1979年のディスコ解体運動を機に、彼らは4つ打ちのディスコ・ビートをやめ、跳ねるグルーヴと電子的リズムへと舵を切る。
“Let’s Groove”(1981)はその象徴であり、のちのエレクトロ・ファンク、R&B、ニュー・ジャック・スウィングの原型となった。
この転換はプリンスやマイケル・ジャクソンにも影響を与え、世界のブラック・ポップの方向性を決定づけた。
日本でもその波は届き、角松敏生がEWF的なファンク・サウンドをシティポップに融合、久保田利伸が日本語R&Bとして発展させた。
ブラスの煌めき、跳ねるリズム、魂のコーラス――それらは山下達郎や吉田美奈子らの作品にも息づいている。
EWFが4つ打ちをやめたことは、機械の拍から解放された「人間のリズム」を取り戻す行為だった。
その自由なビートは、今もシティポップや現代R&Bの奥底で鳴り続けている。




