だから昔のように大女優は出てこない
(プロデューサー、キャスティング会議にて)
「ねえ、ちょっと聞いて。君たちも感じてると思うけど、朝ドラって、もう一種の“女優の大量生産ライン”みたいになってるよね。1961年からスタートして、2024年までにヒロイン経験者だけで110人超えてる。最初は北林早苗さんだったけど、今や毎年、まるで新車発表みたいに“次のヒロイン”が話題になる。
しかも、ただの数じゃない。波瑠、有村架純、永野芽郁…あの辺、みんな朝ドラで火がついた。でもね、逆に言えば、**スターを作るために“一般的な若手女優”を毎年投入してるって構図**でもある。つまり、“個性”というより、“フォーマットに合った素材”を選んでる。オーディションで“よさそうな子”を探して、あとは朝ドラという装置に乗せるだけ。
だからさ、**昔みたいに圧倒的な存在感で映画や舞台を背負えるような“大女優”は、もう出てこないんだよ**。制度として、それを育てる土壌がなくなってる。倍賞千恵子や吉永小百合の時代とは違って、今は“枠に当てはまる人材”が求められてる。そういう意味じゃ、突出する才能より、平均点を高く出せるかどうかが重視されてる。
で、君たちの役目は、その“量産型”の中から、それでも抜け出せる原石を見抜くことだよ。じゃないと、ただの“次の誰か”になるだけ。業界が“顔を作れない時代”に入ってるってこと、ちゃんと理解してキャスティングしてほしい。」