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予定調和以外に大事なのは、「余白」と「裏切り」


サキのシナリオ教室、予定調和以外に大事なのは、「余白」と「裏切り」だと彼女は言った。


「観客ってね、次に何が来るかを“なんとなく”わかってる。でも、その“なんとなく”をほんの少しだけズラしてあげると、びっくりするくらい喜ぶの」


古いプロットや型にはまった展開にも、救いはある。ただし、それが“型破り”と隣り合わせであるときだけ。たとえば、笑わせるシーンの直後に静かに泣かせる。あるいは、ヒーローが最後まで何もしない。そんな反則技が許されるのは、脚本家が「この物語は誰のものなのか」をはっきり理解しているときだけだ、とサキは教えた。


「たとえば、登場人物の“願い”を最後まで貫かせる。その結果がハッピーエンドでもバッドエンドでも、そこに“誠実さ”があれば、観客はついてくるのよ」


彼女の言葉は、ノートを取る手を止めさせるほど静かだった。だが、その静けさには、幾度も直しに直した現場の重さがあった。


「予定調和が悪いんじゃない。そこに、“本気の問いかけ”がなければ、ただの退屈になるってだけ」


そう言って、サキはホワイトボードに一言だけ書いた。


**「なぜ、いまこの物語を書くのか」**


その問いに、答えられない脚本家は、たとえ完璧な構成を持っていても、観客の心には届かない。



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