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女性ヒットマン サンズリバーサイド外伝

女性ヒットマン(サンズリバーサイド外伝)

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私は離婚した。父の介護をするために。あの時は、それが私の使命だと思っていた。ただ、ひたすらに父のために生きる、それだけで良かったのに……。でも、父が亡くなったとき、すべてが変わった。

父の葬儀のとき、カジノのオーナーが声をかけてきた。

「君のお父さん、本当にすごい人だったんだな。知ってるかい? 君のお父さんは、最高のヒットマンだったんだよ。そういう仕事の世界ではね、名前が知られていない奴ほど腕が立つんだ。」

私は驚いてオーナーを見つめた。

「ヒットマン……父が? そんな……」

オーナーは私に近づき、私の顔をまっすぐに見つめると、こう続けた。

「どうだい? 君、父親の仕事を引き継いでみないか?」

即答はしなかったが、日がたつにつれて少しずつ決意が固まっていった。私は知らなかった、父のもう一つの顔を。知らなかったからこそ、その真実を知りたいという気持ちが湧いてきたのだ。父がどんな人だったのか、本当の意味で知りたくなった。そして、私はオーナーの提案を受けた。アメリカへ渡り、銃の使い方を学び始めた。

父の背中を追いかけるなんて、思いもしなかった。でも、今はそうするしかない。私自身のために、父の真実を知るために。

そして、アメリカではマフィアの「ヒットマン学校」に入学した。秘密ばかりの学校だ。場所はもちろん明かされていないし、生徒たちの本名も誰一人として知られていない。校舎の門をくぐると、まるで異世界に足を踏み入れたかのように、冷たく張り詰めた空気が全身を包み込んだ。廊下には無数の監視カメラが設置され、どこからともなく監視されている視線を常に感じる。教室のドアには一切の標識がなく、カーテンで外からの光も遮断されている。中では、武器の扱い方や尾行のテクニック、心理操作の方法まで、普通の学校では絶対に教わることのないスキルが次々と叩き込まれる。

教師たちもまた正体不明で、誰一人として笑わない。授業中に失敗した生徒には冷徹な罰が待っていると言われていて、教室の隅には一度も姿を見せたことのない“消えた生徒たち”の噂が絶えない。ここでは弱さは命取りになる。ただの学生ではなく、未来のプロの暗殺者として鍛え上げられる場所。それが、このヒットマン学校だ。

入学したその日から、私は過去の自分と決別し、冷酷で容赦のない新しい自分を作り上げる必要があった。ここでは生き残ることがすべてで、仲間など存在しない。信頼すべきものは、己の技術と直感だけだ。

そしてヒットマンらしくみられないほど、相手は油断する。

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