大河ドラマの主役を辞退した男優
《某テレビ局・ドラマ企画会議室》
登場人物:
・制作統括P(60代・ベテラン)
・ドラマ部長(50代)
・キャスティング責任者(40代)
・若手プロデューサー(30代)
制作統括P
「……堤くん、やっぱり降りたか。」
キャスティング責任者
「ええ。昨日、事務所から連絡がありました。“第2子が生まれたばかりで、今年は長期拘束が難しい”とのことです。」
若手P
「そういえば、最近の現場でも“家庭優先で動いてる”って聞いてました。」
ドラマ部長
「それは仕方ないな。もう一線でずっと走ってきた人だし、50過ぎて家族の時間を選ぶって、むしろ自然だよ。」
制作統括P
「役者としての“義理”と、父親としての“責任”を天秤にかけて、家族を取ったんだ。かっこいいじゃないか。」
キャスティング責任者
「ファンの間でも、“素敵な決断”って好意的に受け止められてます。」
若手P
「でも、こちらとしてはどうしましょう? 主演は白紙です。」
制作統括P
「焦らずいこう。堤くんじゃないとできない脚本なら、脚本ごと寝かせる覚悟も必要だ。」
ドラマ部長
「むしろ今は、“子育て期の堤真一”が次に何を選ぶか、それを見極める目を持たないとね。人生観が演技に滲む人だから。」
キャスティング責任者
「一度、ご本人に会って話をしても?」
制作統括P
「……そうだな。何も頼まなくていい。『おめでとうございます』だけ伝えてこい。」