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明石家さんまも サンズリバーサイド外伝

 サキは言った。

「ラッキーな人って、ほんとにいるのね……」


 そう呟いたとき、彼女の脳裏には、あの大事故の記憶がよみがえっていた。1985年8月12日、日本航空123便の墜落。520名の命が失われた、戦後最悪の航空機事故だった。


 その日、明石家さんまも本来ならば、その便に乗るはずだった。


 彼は当時、テレビやラジオで引っ張りだこの人気者であり、週のはじめにはABCテレビ制作のコメディ番組『さんまの駐在さん』の収録があった。その収録日は、当初は火曜日に設定されていた。だが、収録スケジュールの変更が突然訪れたのは、事故の一ヶ月ほど前のこと。曜日が火曜日から月曜日に変わった。

 それに伴って、さんまの移動は、月曜の早朝から日曜に変更された。


 このたった一つの変更によって、彼は月曜日の123便を利用する必要がなくなった。


 事故当日、さんまは大阪にいて、MBSラジオの『ヤングタウン』に出演していた。ニュースが伝えられた瞬間、彼はマイクの前で言葉を失ったという。普段は軽妙なトークで笑いを誘う彼が、深い沈黙と共に、音楽を交えながらニュースを伝えた。その衝撃は、計り知れなかった。


 この出来事をきっかけに、さんまは東京と大阪の移動手段を飛行機から新幹線へと変えた。以来、「ひかり」や「のぞみ」に揺られながら、命の偶然に感謝する日々が続いたという。


 それを知ったサキは、静かに目を伏せる。

 運命は時に、ほんの小さな変更によって、大きくその姿を変える。

 そして、ラッキーと呼ばれるその影には、数えきれない偶然と、誰かの悲しみが隠れているのだ。


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