バーナデット あなたはどこへ行ってしまったの?
2012年に出版され、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーに約1年間リスト入りした、
アメリカの作家マリア・センプルによる小説『where’d you go bernadette』
精神病院に入っても薬漬けになるだけで
治ることはないということ。
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シアトル郊外の閑静な住宅街。その一角に建つ大きな家には、一見完璧な家族が住んでいた。バーナデット・フォックス、彼女の夫エルジー、そして愛娘のビー。だが、この家族の日常には見えない亀裂が隠されていた。
バーナデットはかつて建築の天才と呼ばれ、ロサンゼルスで華々しいキャリアを築いていた。しかし、あるプロジェクトの失敗をきっかけに彼女は心を閉ざし、家族と共にシアトルへ移住。その後は専業主婦として子育てに専念する日々だった。しかし、極端な人間嫌いの性格が災いし、近所のママ友や住民たちとの関係はぎくしゃくし、孤立感を深めていった。
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そんなある日、娘のビーが学校で優秀な成績を修めたことで、家族は以前から約束していた南極旅行の計画を立てることになった。しかし、この計画が進むにつれ、バーナデットの精神状態は不安定さを増していく。集団行動を嫌う彼女にとって、ツアー形式の南極旅行は想像するだけで耐え難いものだった。
エルジーは、妻の奇行が日増しに目立つことに危機感を抱き、精神科医に相談する。医者はバーナデットがうつ病を患っていると診断し、入院治療の必要性を訴えた。そんな矢先、エルジーのオフィスにFBIが訪れる。バーナデットが利用していた仮想秘書サービスが、実はロシアの犯罪組織によるダミーであり、彼女の個人情報がすべて盗まれていることが判明した。
苦悩の末、エルジーは妻に向き合い、こう告げた。
「バーナデット、南極には僕とビーだけで行く。その間、君は精神病院で治療を受けるべきだ。」
突然の宣告にショックを受けたバーナデットは、トイレに行くふりをしてその場から逃走する。彼女の失踪により、家族は混乱に陥った。
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バーナデットがいなくなった後、エルジーとビーは彼女の行方を捜し始める。その中で、彼女が過去に直面した挫折や孤独の深さを知ることになった。そして、彼女が向かった先が南極であるという確信を得る。
一方、バーナデットは密かに南極行きの船に乗り込み、現地で科学者たちと交流する中で、自分が再び建築の世界に挑むべきだと決意する。科学者たちが南極基地の建て替えを計画していると知った彼女は、自ら設計を志願した。
基地の責任者は慎重に彼女の過去を調べたうえで言う。
「ここで暮らすのは孤独との戦いになる。それでもやれるのか?」
「この20年間、それに耐える練習をしてきたの」と、バーナデットは静かに答えた。
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やがて、ビーとエルジーも南極へと向かい、ついにバーナデットと再会する。再び情熱を取り戻した彼女の姿に、家族は彼女の挑戦を応援することに決める。
数年後、南極の新基地の完成披露式が行われる。晴れやかな表情のバーナデットと家族が寄り添う姿で、物語は幕を閉じる。南極の果てで再び灯された光は、家族の絆と新たな未来を照らしていた。
映画になりました
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