バナナフィッシュの日 脚本の原案 下書き TAKE1
## バナナフィッシュの日
ビーチサイドのホテルは、焼けつくような太陽と波の音で満ちていた。**早川ミユキ**は部屋の電話が鳴るのを聞き、ため息をつきながら受話器を取った。
「ミユキ、タカシさんがまた何かおかしなことをしてるんじゃないの?」
電話の向こうから母親の声が聞こえた。東京に住む母親は、娘の夫である**早川タカシ**のことをひどく心配していた。
「お母さん、心配しないでって言ったでしょ。タカシは大丈夫よ。」
ミユキは爪をいじりながら淡々と答えたが、母親の問い詰めるような口調に苛立ちが募る。
「あなたの大丈夫ほど信じられないものはないわ。ちゃんと病院に行かせてるの?」
ミユキは母親の言葉を聞き流し、窓の外に目をやった。ビーチでは、黄色い水着を着た幼い少女が母親にサンオイルを塗られている。少女は、繰り返し何かを呟いているようだった。
「もっと鏡を見て。もっと鏡を見て。」
「何言ってるの、サユリ?」
**サユリ**と呼ばれた少女は、問いかけに答えず、ただその言葉を繰り返すばかりだった。
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砂浜には、仰向けに寝転がっている青年がいた。**早川タカシ**だった。日差しを遮ることなく、無防備に空を見つめるその姿を見つけたサユリは、彼に向かって駆け寄った。
「ねえ、バナナフィッシュって知ってる?」
サユリが突然話しかけると、タカシは微笑みながら体を起こした。
「もちろん知ってるさ。今日はバナナフィッシュ日和だよ。」
タカシは立ち上がり、サユリを海へ誘った。二人は波打ち際で遊びながら、バナナフィッシュの話を始めた。
「バナナがいっぱい詰まった穴に入るんだ。普通の魚なのに、そこに入ると豚みたいに食べちゃうんだよ。ぼくが知ってる奴なんて、七十八本も食べた。」
タカシの声は、まるで絵本を読んでいるかのように優しかった。
波が二人を押し流すと、サユリは「バナナフィッシュを見た!」と叫び、無邪気に笑った。タカシは彼女の小さな足を持ち上げ、その土踏まずにそっとキスをした。
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ホテルに戻ると、タカシはエレベーターで知らない女性と乗り合わせた。彼は突然、その女性に不機嫌そうに話しかけた。
「あなた、ぼくを変な目で見てたでしょう?」
女性は驚き、困惑した顔でエレベーターを降りていった。
部屋に入ると、ミユキはベッドで眠っていた。タカシは彼女の寝顔をじっと見つめると、引き出しを開けて拳銃を取り出した。
タカシはベッドの端に腰を下ろし、妻の静かな寝息を聞きながら目を閉じた。次の瞬間、静寂を破る音が部屋に響いた。
外では、波の音が途切れることなく続いていた。
サリンジャーの「バナナフィッシュにうってつけの日」をモチーフに 新たな展開を考えています