(2)早稲田大学アラブゲリラ
(2)早稲田大学アラブゲリラ
深呼吸をしてから、話を続けた。
部屋の中で、学生たちの目が輝いていた。
後輩らにとって、私の語る物語は過去の出来事ではなく、
後輩ら自身の未来につながる重要なメッセージになるのを願った。
「早稲田映画研究会の部室に行ったとき、
部屋の扉には張り紙がされていました。
『ただいま闘争中』という文言が、
らくがきで『逃走中』と書かれていました。
数日後、週刊朝日で知ったのですが、
部員たちはアラブ赤軍に加わり、
アラブへ逃亡していたのです。」
私は一呼吸置き、学生たちの反応を見た。
表情が一変し、何人かは言葉を失ったままだった。
「今考えると、もし一年早く早稲田大学に入っていたら、
私も彼らと同じ運命を辿っていたかもしれません。
テルアビブ空港でのマンシンガン乱射事件、
岡本公三による24名の射殺と80名の負傷。」
部屋の中に静寂が広がった。
学生たちの驚きと共に、何か重い空気が室内を支配していた。
「その出来事があった後、私は早稲田映画研究会への入部を諦め、
このシネマ研究会に加わりました。」
私の言葉が部屋に響く中、
後輩らが考えに耽る姿を見ていた。