(17) リックの店
(17) リックの店
リックは愛理からの手紙を読んでいる。
「ボス! 何を、にやけています?」
「俺の店が映画になったそうだ。
俺がボギーだって。
サム! お前もでている。
ホリーは、いないんですか?
原作では米国女性のドリーが、
おそらくホリーだろう。
映画では、いなくなっていると手紙にある」
ホリーが現れる。
ホリー「ひさしぶり」
リック「いよいよカサブランカも危ないのか?」
ホリー「そう!そろそろ侵攻」
リック「あのマックスはどうした?」
ホリー「妻が自殺したの。
二人には娘がいたのに」
リック「関わっただけに。泣けるぜ」
サム「ボス! 潮時ですね。 俺は軍に志願します。
国吉さんはなぜ収容所にいかないのですか?」
ホリー「ニューヨーク在住の日本人はセーフよ」
サム「それじゃ。
ジョー親分はニューヨーク在住ですぜ。
ボスと同じカリフォルニア州ストックトンで生まれだから?」
ホリー「日本人初のマフィア・ギャングだからかもね。
ともかく、西部にいる日本人は不幸ね」
サム「ホリーは。どこの生まれだ?」
ホリー「南部よ」
サム「南部に日系人なんてめずらしい。
栄次郎さんも日本人ハーフだが、大学教授か。
不公平すぎる。 いったいどれくらいの日本人が?」
ホリー「およそ12万人らしい。
収容所で病死者が多く出ているわ」
ずっと黙って聞いているリックにホリーが言う。
ホリー「リック!
ユダヤ協会からお願いが来ているわ」
リック「お願いじゃねえだろ。指令だろ」




