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(16)映画カサブランカは駄作でよかった


みなさん!ごきげんよう。

サーキーの映画の時間です。

リックの妹・愛理は映画『カサブランカ』の

制作秘話を書き留めています。

戯曲『みんながリックの店にやってくる』は、叔父の国吉から愛理に渡されました。

愛理は夫の姉のワーナー・ブラザーズで働くダイヤモンドに相談しました。

ダイヤモンドは上司のプロデューサーのハル・ワリスに、

戯曲の権利を二万ドルで購入させました。

戯曲『みんながリックの店にやってくる』の映画は、先に上映日が決まりました。

上映日は、連合軍がカサブランカ侵攻する一九四二年十一月二十六日。

国民の士気を高めるプロパガンダ映画が必要でした。

戯曲は四二年一月に購入さればかりで、

脚本は、まだできていませんでした。

あと九か月もない。

ワーナーでは、映画は駄作でかまわない、

やっつけの、ただのプロパガンダ映画という認識となった。

脚本を未完にしたまま、脚本の神様・エプスタイン兄弟がキャプラに引き抜かれて

ワシントンに移ってしまい、ハワード・コッチが脚本の責任者になります。


愛理は映画の原案で、リックと栄次郎を提案しました。

栄次郎夫妻がカサブランカから米国へ亡命するストーリーが立案されたのです。

栄次郎の妻イダをリックの恋人にしました。

栄次郎はラズロにされて、チェコの革命家になりました。

日本人のハーフじゃ、問題だからです。

イダにふられて、カサブランカの店に戻ったリックは、もう恋は絶対にしないと誓います。

リックにお熱を上げている女性がリックに『昨夜はどこにいたの?』と尋ねます。

するとリックは『そんな昔のこと、覚えてないね』と答える。

『今夜逢える?』と女性が聞きます。

『そんな先のことは分からない』とリックは答えます。

この台詞は有名になりました。

出演者も、すぐに撮影できる俳優となり、有名な映画スターは選べない。

リック役はハンフリー・ボガードという悪役専門のちびで、

しかも顔はブルドックのような顔。

ワーナー側は主役のリック役をボガートから別の役者へ振り替えようとしました。

その中にはロナルド・レーガンの名も上がっていましたが、

製作者ハル・ウォリスが猛反対したのです。

主役を変更する時間がなかったのでしょう。

イダ役は、スウェーデンから来たばかりで、

ハリウッドに染まっていないイングリッド・バーグマン。

栄次郎その他の役者もヨーロッパ出身者から起用。

おそらく脚本もできていない映画への出演はハリウッド俳優は敬遠したのでしょう。

一九四二年五月二十五日に制作が開始された映画は

スピード撮影で八月三日には完了しました。

撮影が開始されたクランクインの段階で脚本は完成していませんでした。

書き上げられたシーンを片っ端から撮影していくという方法が採用されました。

バーグマンは脚本担当に尋ねた。

『どちらの男性と結ばれるのですか?』

『まだ決まっていないので、二通り撮ることにしています』

バーグマンはあきれる。

『夫と共に行くの?リックと出国して行くの?』

『決まれば教える』と脚本担当は答えました。

バーグマンはエージェントに悩みを打ち明けます。

『二人の男性と恋愛関係にあるという設定。

私はどんな演技をしていいか、わからない』

脚本もなく、ただ、ボガートと署長が霧の中を遠ざかるシーンだけが撮られました。

この時ボガートは『死ぬ役は署長にまわしてくれ。

おれはまだ死にたくない』と言ったそうです。

終盤まで話の結末を誰も知らないという

前代未聞の映画で、結末がなかなか決まりませんでした。

上映日が確定しているので、闇雲に、いろんなケースで撮影がなされました。


身長問題も生じました。

バーグマンの身長は百七十五センチ、ボガードは百七十センチ。

ハイヒールを履けば差は十センチです。

見上げることになります。

そこでボガードを踏み台に乗せて身長差をごまかしたそうです。

今日はここまで。ごきげんよう」


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