「カサブランカで朝食を」SAKIBLANCA (1)
久留牟田サキコの母 守一の父母の登場です。
ミュージカル原案
「カサブランカで朝食を」SAKIBLANCA
小説「ティファニーで朝食を」のホリー(オードリー・ヘプバーン)
と映画「カサブランカ」のリック(ハンフリー・ボガート)のモデルは日本人だった。
第一場
歌「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」
以下歌詞
いつまでも 忘れないわ
パリの 日々 を
サムが 歌うのよ
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
キスはキス ただ それだけ
せつないわ
サムが 歌うのよ
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
カサブランカ 行かなければ
リックとも 会わなかった
こんな つらいことも なかったわ
あなたから 旅立ったわ
忘れないわ
リックがつぶやく
アズ・タイム・ゴーズ・バイ
訳 いしくらひらき
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男はトレンチコートを着て、
閉店した酒場の椅子に座った。
外出する時間の調整をしていた。
男はつぶやいた。
「俺はサムとニューヨークから逃げてきた。
今、モロッコのカサブランカで酒場をやっている。
名前は「リックカフェ・アメリカン」。
店に名前はなかったが、周囲が店の名前を勝手につけてしまった。
リックは俺の名前だ。
俺は日系人だが日本人には見られなかった。
カサブランカの店はバロン薩摩のポケットマネーで、看板もつけてくれた。
バロンはパリに住む日本人で、祖父の莫大な蓄財を湯水のように使っていた。
モロッコにも別荘を持っていた。
俺とサムはカリフォルニア生まれの日系人だ。
サムは寒川という名字で、父は黒人のピアニストだった。
俺らは大分県から移住した牧師の息子・衛藤健と家出した。
アメリカ西部は反日地域で、俺らはいじめられていた。
ニューヨークにいる国吉叔父を訪ねてアメリカ大陸を横断した。