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SAKIMORI ナッシングダークネスその4
老婦人「なぜ助けてくれないの?
味方だと思ったのに」
ケンジ「・・・・・」
「あなた・・・・(はっと気づき顔になる)」
「・・・・・」
「あの人には見えなかったのかしら」
「・・・・・」
「そんな・・・(悲しそうな顔)」
「鏡を見て」
老婦人は鏡を見て、ケンジをみようとするが鏡にはうつっていない。
老婦人「だましたのね。
あなたが彼(死神)なのね?」
「そう、だましたんだ」
「でも、なぜ?
いつでも連れて行けたのに。
親切ぶって。
信用させて」
「理解してもらいたかった。
(老婦人の前に立ち上がり)
僕は悪者かな?
そんなにコワイ?
僕と話して信頼してくれたね
僕が乱暴でも?
怖いのは僕じゃない。
そうだろ?
未知のものがこわいんだ。
こわがることはない」
「でも怖いわ」
「もういいんだ。
休みなさい」
ケンジは手をさしだす。
「手を」
老婦人「死にたくない」
「僕を信じて」
老婦人「いやよ」
「お母さん」
老婦人「・・・(首をふる)」
「手を」
老婦人「・・・(手をだしかけている) 」
「どうぞ」
老婦人「・・・(手をさしだす)」