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その2 SAKIMORI(NANAの続編) モンゴル
今日の撮影シーンは、
これでおしまい。
時間は深夜になっていた。
私はケイコと、
監督に一礼して、
急いでタクシーに乗車した。
車中でケイコが言った。
「お疲れ様です。
監督は、
娘にも同じことを言わせたんですね」
「そうなの。別の失恋シーンを提案したのに」
「サーキーさんが言ったように
『あたしの負けだよ』は、しびれますよね」
「あれには、
私も最初に聞いた時に作品の魅力に気づいたの。
累計発行部数、
一億冊は超えているのでは?
英語版も入れてね」
「最近は、節税対策で
累計部数は公開しませんからね」
「モンゴルから来たバイトの子が、
日本語版持っていたわね。
バイブルみたいな感じだった。
おそらくそれで
日本語も勉強しているのね」