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その40 母が倒れた

会社から復職の命令が来た頃だった。


母は僕に毎日朝夕二回の携帯電話でのワン切りをしていた。

東京にいる僕に「ちゃんと生きてます」

と携帯電話の着信で連絡していた。


十一月二十五日だった。

母からの携帯電話のワンギリが一日なかった。

翌朝ワン切りがない。母のお隣に電話した。

隣の方が母の家に行ってトイレで倒れていた母を発見した。

救急車で運ばれて、大牟田市民病院に入院した。

僕は市民病院にかけつけると、

母は言語障害で、一言も話せない。

機関銃の音がしない。 

なんなのだろう? 

あんなにおしゃべりが好きなのに。

機関銃がサイレンサーになった。

母は悲しくもない顔だ。なんだろう? 

ボケたのだろうか?

僕の顔は分かるようだ。

メモで話したいとも言わない。

別人になったようだった。


医師から説明があった。

母は脳梗塞で倒れた。

発症して八時間以上は経過していた。

命は救われたが、右半身麻痺、

言語障害にもなり、話せない。

入院して精密検査すると胃がんがみつかった。

胃がんの末期だった。

胃と腸の間をつなぐ噴門がガンで完全に塞がれていて、

食べても大腸にとどかない。

だからトイレに座ったまま脳梗塞になって倒れた。

便が出ないので脳梗塞になるまで力んだのだ。

医者から、ガンが他にも転移していて余命数ヶ月と言われた。

胃がんはこわい。普段は痛くない。

普通に痛みを感じるようになったら、

もうガン末期だという方が多いらしい。

医者は治療ができないと言った。

脳梗塞を治す薬は、胃癌を進行させるという。

本当なのだろうか?


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