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その34 僕の落日 裁判の行方

その34 僕の落日 裁判の行方


 裁判となった。

民事だが、仕入先が僕の会社を訴えてきたのだ。

裁判長が言った。「被告は本裁判になる前に、

まずは和解へ向けて努力するように」

和解調停が始まった。

僕は原告の仕入先からSEとプログラマーの紹介をうけて、

客先に2人の技術者を常駐させた。

 常駐して3日目に中国人プログラマーの契約は解除されていた。

SEも1週間もしないで出社しなくなった。

出社しなくなったのは運が悪い。

8月の盆休みと重なった。

客先からも仕入先からも僕には連絡がなかった。

盆休み明けの8月16日に客先に行った。

技術者が現場にいないことを知り、僕は仕入先に、

「出社しないと、給金は支払えない」とメールした。

まだ発注書も仕入先に送っていなかった。

仕入先からは、返事がなかった。

一件落着したと思っていた。

10月になってからだ。

仕入先から技術者2人の1か月分の給金相当を払えと訴状が来た。

訴状に添付されていたのはメール文だった。

メール内容は8月から現場に入る指示依頼と給金内容。

いったいなぜ中国人プログラマーの契約が打ち切られたのか?

SEの方は契約を打ち切られていないので、常駐できたはずだが、

SEは現場を放棄した。

理由は推測だが、仕事はCOBOL言語で書かれたシステムの分析で、

SEはCOBOL言語がわからなかったからだと思う。

裁判になって僕の会社は負けてしまった。

会社より個人を守るのが法律の原則。

給金に関してのトラブルは、請負側に弱い。

僕は「客先が契約解除したので、支払えない」と主張はしたが、

仕入先は「御社の指示で動いている。

契約解除した常駐した客先は関係ない」と言う。

結局2人の給金1ヶ月分相当を仕入先に支払う。

以下の2点が要点となった。

正式な発注書はないが、メールが発注書とみなされる。

技術者は仕事をしていないが、契約した以上、

少なくとも1ヶ月分の給料相当を支払う必要がある。

反省点としては事件後、仕入先への連絡をメールで済まし、

実際に会いに行って腹を割って話さなかった。

仕入先側が訴えると決意したのは常駐したSEが9月に、

心筋梗塞で急死したからだった。

死んだSEに見舞金を出したかったそうだ。


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