その29 年商売上1億
その29 年商売上1億
ラクシュミはヨシモト、公明兄弟と大手システム会社へ常駐した。
会社として安定する10名常駐を達成するために、宮本は決断した。
10名で、月商は約500万以上となる。
宮本は僕に言った。
「僕もネックのヘルプデスクに参加できないでしょうか?
新たな4名といっしょに現場で頑張りますから」
「大丈夫かい?
ちゃんと無遅刻無欠勤で、常駐できるかい?」
不安がよぎった。
宮本が常駐した姿を見たことがなかったからだ。
常駐してわずか三日で現場放棄したツカサのことを思い出した。
賭けだ。人生にギャンブルはつきまとう。
前に進むしかない。
草原ネット社から独立した支社長の会社から宮本を含めた5名をヘルプデスクに常駐させた。
支社長はネック社との商権も持ち逃げしていた。
ラクシュミ社は常駐者が合計8名となり、月売上は400万を超えた。
事務所を借りている博文社長にラクシュミについて報告した。
博文社長は言った。
「半年で月商400万以上ですか、あっというまに会社として成り立つんですね」
僕は言った。「技術者ひとりの月単価が高いんですよ。昔はもっと高かったようです。
ですから技術者がすぐに自分で独立する業界なんですよ」
「マイクロソフト、ソフトバンク、ホリエモンなどの成功例は多いですね」
「重要なのはプログラマーを何名配下にできるかです。
政党と同じですね」
「ITも人ですか・・・」
「合言葉はゲーム会社をつくることですね。
会社が安定してくるとゲームに熱狂する20歳代がラクシュミに集まってきました。
ラクシュミの魅力は宮本という若い同年代の社長にありますね。
彼は風貌がちょっと少年のようでした。
集まった若者は、ツカサのようなプログラムの経験はなかったものばかりです。
中には学校でプログラムを学んだ者もいますけど・・・」
「確かに宮本さんは少年の雰囲気ですね。
でも初心者ばかり集まっても先に進みませんね」
「そうなんです。ラクシュミの課題はプログラマー育成だと宮本もわかっていました」
「言うのはたやすいけど、難しそうですね」
「それが奇跡が起こったんです」
「ほ~奇跡ですか」
「しばらくは無給ですが、プログラマーとして育ててくれる会社を見つけたんです」
宮本が持っていた幸運がもたらしたのだろうか。
インターネットで主要となるJava言語の教育を受けながら開発現場に常駐できて、
一人前のJavaプログラマーにしてくれる会社に出会った。
ラクシュミだけでなく、僕の会社にも貢献した。
毎日新たな会社と名刺交換をしていると
100社にひとつは良いめぐり逢いがある。
昔はミシンで有名だったスネークアイ社と名刺交換した。
豊洲にあるスネークアイ社の応接室でJava技術者育成システムについて質問した。
「どんなシステムですか?」
「とりあえず半年は無給です。半年後の給料は安いですが月30万。
そのかわり現場でJava修行ができます。
2年間は拘束させてください」
「それは、いいですね。ぜひ応募させて下さい」
「年齢的には23歳前後までですよ。
ITのスキル素養があるかどうかは、こちらでテストします」
育成システムにはラクシュミや僕の会社の未経験者を投入できた。
ラクシュミは1年もしないでピークで稼動要員は30名になり、
月商一千万をこえた。
所長の哲郎が言った。
「スネークアイ社はかしこい。
1年半、月30万で拘束すれば元がとれる、
それ以上の利益がでる」
プログラマーの最終単価はひとり100万以上。
国からの仕事であれば癒着もからんで、さらに高い「単金」となった。
哲郎は言った。
「新入社員のリスク回避だね」
「なるほど・・・・」と僕はうなずくようにこたえた。