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その13 エージェントの仕事
大学を卒業して製薬会社に入った。
ITの技術者として経験を積んで、以降は外資系の会社を転々とした。
40歳代になり衰えを感じた。
野球の選手と同じだ。過酷な頭脳労働は30歳代がピークだ。
仕事はコンピュータとの対決だ。ぼくはうんざりしていた。
休日も夜もない。24時間戦う仕事なのだ。
破格の退職金に目がくらんで、会社をやめた。
システムコンサルタントとして独立をめざすが、
あてにしていた大口のお客に裏切られた。
システムコンサルタントでは食べれない。
ぼくに残った仕事はエージェントだった。
正社員での再就職ができずに、半年間はフリーでエージェントの仕事を行う。
なかなかフリーのぼくに紹介を頼む技術者はいなかった。
だがエージェントの仕事で技術者の受け入れ先の名刺が100枚以上になった。
49歳で、ソフト会社に営業職として潜り込んだ。
半年のエージェント活動だけで、正社員として間違って採用されたが、
売上が上がらないと首にする会社だった。