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カプセルホテルで寝ると落ち着くのも、 一人で食事するのが好きなのも、 三歳の頃のあの生活が影響しているのだろう。

僕の性格は、三歳の頃に決まったのだと思う。

実の父は画家だったが、父との記憶はほとんどない。

かすかに「いたような気がする」という程度だ。

幼稚園に通っていた頃には、もう父はいなかった。

母も家にいることは少なかった。僕のために昼はデパートで働き、夜は酒場に勤めていた。

生まれたときの名前は「松井拓」。

松井家には祖母のタキ、父の弟である正博おじさんとその妻スミエさん、

それに父の妹――妙子さんも一緒に暮らしていた(たしかそうだったと思う)。

食卓の風景に、父も母もいなかった。

両親と一緒にご飯を食べた記憶は、まったくない。

僕はギッチョだった。

左手で箸を持つ僕を、正博おじさんが叱って右手に矯正させた。

おかげで今では両手で字が書けるけれど、みんなで食べるのが苦痛になっていった。

夜は屋根裏部屋で、一人で寝ていた。

夜中に目が覚めて「寂しい」と思ったこともある。

その頃から、孤独との長い付き合いが始まった。

今、僕がカプセルホテルで寝ると落ち着くのも、

一人で食事するのが好きなのも、

三歳の頃のあの生活が影響しているのだろう。

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なんとんつくれん物語より

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