カサブランカ続編1~二つの続編
『カサブランカ』には続編が存在する。
ひとつは、『カサブランカ』のメイン脚本家であるハワード・コッチが手がけたテレビドラマで、ボギー(ハンフリー・ボガート)の息子がカサブランカを訪れるという内容である。
そしてもうひとつが、今回紹介したい本格的な続編である。
タイトルは『As Time Goes By』という小説で、日本語訳では『もうひとつのカサブランカ』として出版されている。
この作品は、映画『カサブランカ』の制作には関わっていない人物によって、約70年が経過した21世紀に書かれた。
著者はマイケル・ウォルシュ。
物語は恋愛よりも戦争や冒険を軸とした内容である。
この続編は、ふたつの大きな筋書きで展開する。
ひとつは、『カサブランカ』の原作戯曲『誰もがリックの店にやってくる』をベースに、リックのニューヨーク時代を描いたものである。映画『カサブランカ』が始まる以前の話であり、サムとの出会いも含まれている。
もうひとつは、映画が「ルイ、これが美しき友情の始まりだな」というセリフで幕を閉じた、まさにその直後から始まる。リックとイルザ(ボガートとバーグマン)は、ナチス高官ハイドリッヒの暗殺事件に巻き込まれていく。
村上春樹の小説のように、ふたつの物語が交互に展開するスタイルとなっている。
つづく