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国吉康雄の奔走
国吉康雄は米国政府から財産も家も没収されて、
収容所に入れられて殺されるのを恐れていた。
米国のプロパガンダへの協力に奔走した。
ニューヨークの学校教師が書いた戯曲『みんながリックの店にやってくる』を知った。
作品はナチによるユダヤ難民の悲惨な実態だった。
日本人迫害もユダヤ迫害と同じだと米国民に思ってほしい。
国吉は痛切に思った。
戯曲はニューヨークのブロードウェイでは誰も手を付けない。
国吉はプロパガンダ映画に推薦できないかと、
姪の愛理に託したのだった。