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米映画のセリフ2位~君の瞳に乾杯

全米映画協会の投票

メジャースタジオのトップから、

プロデューサー、監督、俳優、エージェント、

パブリシストなど1600名を超える米映画業界の関係者が回答。

「君の瞳に乾杯!」2016年投票で2位。


映画「カサブランカ」で

アメリカ男優ナンバーワン選出のボギーこと

ハンフリー・ボガードが

故淀川長春氏が千年に一度の美女と称賛する

イングリッドバーグマンに言う台詞です。

この台詞はたしか映画の中では二度言われる。

おそらく最後のシーンから選ばれたのだろう。

* 

ボガード「もし飛行機が飛び立って彼がいないと絶対後悔するんだ」

バーグマン 「いやよ」

「今日はいい、明日はいい 

       でもすぐに君は一生後悔する」

「私達はどうなるの?」

「俺たちにはパリの思い出があるじゃないか。

   昨夜取り戻したよ」

「でも離れないと昨夜約束したわ」

「心はひとつさ。

 さぁ行くんだ。

 君の瞳に乾杯」

「こんなに愛さなければよかった」

++


おそらく脚本家の間ではかなり有名なセリフだろう。


Here's looking at you, kid.

又は Cheers! Looking at you, kids. 


直訳すると

「君を見つめることに乾杯、カワイコちゃん」

直訳されるとなんかピントこないが、

英語では素晴らしいセリフらしい。

米国映画協会(AFI)名セリフベスト100(2005)

でも5位である。


映画「ホリデイ(2006)」でも、

昔の脚本家イーライ・ウォラック(アーサー)が

「カサブランカ」の脚本を手伝い、

この有名なセリフを考えたのは私だ、と言う。


英語での名言のニュアンスが伝わらない。

これが、なんで名セリフなのか?


まず絶世の美女イングリッドバーグマンに言うセリフだからだろう。

もう私はバーグマンを観ているだけでフリーズ(凍結)してしまう。

それでも私にはなぜこれが名せりフかわからない。

「君を見つめることに乾杯、カワイコちゃん」がなぜ?


しかしこの英語のニュアンスを

日本人にも納得する訳をした人がいたんですね。

もう有名な話しですが、

字幕の魔術師、高瀬鎮夫(たかせ しずお、1915年 ‐ 1982年)氏


なんとこのセリフに瞳をつけてしまった、「君の瞳に乾杯」。

なんと素晴らしい名訳、

これは字幕史に残る名訳と言われている。


高瀬さんのことを少々話しさせてください。

彼の作る字幕は名訳というか、

もう訳を逸脱したセリフですね。


「ジョルスン物語(1946)」の決め台詞

「You ain't heard nothin' yet!」

直訳すると「あなたはまだ何も聞いていない」


これを高瀬氏は「お楽しみはこれからだ」とした。


「第三の男」(1949)の

“l shouldn’t drink it. lt makes me acid.”。

直訳「私はこれ(酒)を飲んではいけない。

酒は私をacid(酸性と不機嫌を掛け合わせた意味)にするからだ」


これを高瀬氏は「今夜の酒は荒れそうだ」。


「ある愛の詩(1970)」

アリ・マッグローが学友の書いたこの小説を

プロデューサーのロバート・エヴァンズ

に売り込みに彼の邸宅(花の御殿と言われた)を訪れ、

もう帰らないで結婚してしまったというエピソードがあり、

二人で考えた傑作だと言っているセリフ

“Love means never having to say you're sorry”。

直訳だと

「愛というのは、ごめんなさい、残念だと決して言わないことである」

「愛とは、ごめんと言わなければいけないことではない」


これを高瀬氏は「愛とは決して後悔しないこと」と字幕した。


なんという才能だろう、脱帽である。


さて<君の瞳に乾杯>に戻ろう。

昔NHKの放送で

この台詞が「君の命に乾杯」と訳された時、

抗議が殺到してしまったそうだ。


このセリフ<君の瞳に乾杯>は誰が作ったのだろう?

どうも不明のようです。


「カサブランカ」には7名以上の脚本家が関わっているそうだ。

この年代は誰もが参加できる自由な雰囲気があったので、

名作がさらに磨きがかかったのかもしれない。


映画脚本の土台となったのは

マーレイ・バーネットとジュリアン・アリソンの1940

年戯曲「誰もがリックの店にやってくる」で、

これが1941年ワーナーのアイリーン・リーによって

2万ドルで買われた。

この原稿はハリウッドで再検討され発展させられ手を加えられたが

その作業は七人もの映画脚本家の手で行われた。

中心となったのは

双子の脚本家チーム、ジュリアスとフィリップのエプスタイン兄弟で

気のきいた台詞は大半が彼らの発案だ。

それに物語の政治的意味を強調したハワード・コッチ。


おそらく<君の瞳に乾杯>は

脚本の神様と言われたエプスタイン兄弟のセリフだろう。

もしかしてそれに誰かが付け足した可能性もある。


この前「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディー(1942)」を観た。

粋なセリフがいくつかある。

“My mother thanks you. My father thanks you. 

My sister thanks you. And I thank you. ”。

「母、父、妹、そして私がお礼を」


「君が歌う為に作った歌だが、フェイにやるしかなかったんだ」

「いいのよ、フェイは歌を、私は作者をとったから」


その他うなるようなセリフがある。


DVD特典で解説者が言うことには、

この映画の脚本に名前が挙がっていないが、

一部のセリフは

「カサブランカ」のエプスタイン兄弟が関わっているという。

それなら納得と私は思った。


米国映画協会(AFI)名セリフベスト100(2005)で、

「カサブランカ」からセリフが6つも入っている。

それで1位が気になるでしょう。


1位は“Frankly my dear, I don't give a damn. ”

「はっきり言うが、俺の知ったことじゃない」。


「風と共に去りぬ(1939)」からのセリフで

スカーレットが最後の最後に自分はレット・バトラーを愛していたのだと

いうことに気づき感情を吐露したが、もう既に遅い。

もういいかげんうんざりしたバトラーが言い放つ最後のセリフ。


古いですが

「木枯らし紋次郎」の決めセリフと似ていますね。

「あっしにはかかわりのねぇこッて」


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