国会図書館
二月二日
リョウコから電話がある。
明日からバスガイドのバイトで、尾瀬に行くそうだ。
いろいろと聞いてやると、リョウコのレポートが進んでいない、
資料が見つからないという。
かわいそうになって、自分のレポートでも大変なのに、
リョウコのレポートに必要な資料を探してやると安請け合いした。
リョウコのレポートのテーマは「スタインベックの研究」
二月四日
未明の二時頃から起きだして、ゼミのレポートを書き出した。
まだ半分も終わらない、原稿用紙四十枚程度。
そのまま起きていて、リョウコの資料探しに出かける。
早稲田大学、新宿と日比谷の、三つの図書館をまわったが、
目録カードにまったくない。
リョウコが泣きべそをかいていたわけだ。
その理由がわかった。
それでは国立図書館に行くしかない。国会図書館だ。
日本で出版された本は原則、ここに全部所蔵されるシステムなのだ。
膨大な図書カードから四冊見つかった。
その中から 「怒りのブドウ~スタインベックの作品と背景」 を閲覧して要点をまとめた。
二月七日
大学のゼミのレポートで疲れ気味だが、妹分のリョウコも困っていて、
ヘルプコールがあり、再び国会図書館へ行って、リョウコのレポートを手伝う。
十八時頃に帰って、疲れていたので、そのまま寝てしまった。
自分のレポートでの徹夜が、このところ続いているからだ。
二十二時頃電話で起こされた。
学友オンワードからのヘルプの電話だ。
赤坂にあるクラブ「ムゲン」にいるらしい。
学友二名で、三名の女子大生をナンパしたから、
ひとり足りない、来てくれという。
断れない。前回のアマンとの一件で借りがある。
赤坂は近いので、すぐ出かける。
信濃町からタクシーで十一分、距離にして約四キロ。
もうカップルは、できあがっているだろう。
呼ばれるからには、残っている女性は想像できる。
難物なんだろう。鉄の要塞か素通りタイプか。
今回のお呼びは、野球の投手で言えば、
ストッパーとかリリーフではなくて敗戦処理だ。
どちらにしても三組のカップルにしなければ。
各々の切り離し作戦をオンワードは期待しているのだ。
学友のために、残りの女性のお相手をする必要がある。