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フェイドアウトの関係
大学に行ってみて、リョウコが僕とクールな関係で、
つきあっている理由がわかった。
リョウコの元カレが、僕と同じ学部にいると告白した。
かなり未練があるらしい。
空いている教室から、キャンパスを歩く学生をながめていた。
元カレの顔を見たいと思ったのかもしれない。
しばらくして原宿へ行った。
僕のお気に入りの「レオン」が、お休みなので、「ペニーレーン」に入る。
リョウコは、このところの試験で疲れていて、あまり話したくないと言う。
無言のままで、考えごとをしていた。
僕といると楽らしい。
僕がバイトをやっていた渋谷のデパートに連れていった。
なかよし組は健在で、暇そうにしていた。
夕方になり、リョウコが電話当番で、
寮に戻る時間が迫ったというので、
デパートを引き上げた。
途中まで見送った新宿駅で僕は言った。
「リョウコとは、お互いに必要でなくなったら、
自然消滅するフェイドアウトの関係だよな。
それは仕方ないね」
「でも、悲しいね」とリョウコは言った。