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フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


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ティファニーで朝食を

一月九日

僕は怠惰に昼まで寝ていて、十四時過ぎに部屋を出て、

日比谷図書館でゼミのレポートの準備で本の物色をする。

レポートに関係ない本で、気になる本があり読んでいたら、

いつのまにか閉館の十九時になった。


リョウコと一時間以上の長電話となった。

カポーティの小説「ティファニーで朝食を」の話をした。

「カポーティは自分の体験しか書けないんだよ。これは、カポーティの半自伝だよ」

「日本人なんか、でてくるわよね? 本当に実在したの?」

「ユニヨシだね。実在の画家で撮影家の国吉康雄だよ」

「それじゃ、主人公のホリーも存在するの?」

「国吉は、ニューヨークで、アパートを経営していた。

カポーティは、アラバマからニューヨークに出て、国吉ハウスに住んで、

『ザ・ニューヨーカー』誌のスタッフとして働きだした。だからホリーもいるはずさ」

「ホリー、見てみたいわ」

「ぼくも、いつか見たいと思っている。国吉がホリーと思われる絵を書いている。

ホリーの顔はオードリー・ヘプバーンとは、違いすぎるらしい」

「それじゃ、どんな感じなの?」

「カポーティは、映画化を知って、マリリン・モンローがホリーになると思っていた」

「真逆じゃない?」

「マリリン・モンローが、役を辞退したんだよ」

「なぜ?」

「作品の主人公ホリーが娼婦だと、世間では思われていたんだ」

「誤解されたんだ」

「カポーティの自伝では、『ティファニーで朝食を』は、

アメリカ南部では不道徳で発禁本になっていると書かれている」

「ひどいわね」

「だから、映画の妖精のようなオードリー・ヘプバーンがホリーを演じると知って、

驚いたそうだ」


そんな話をリョウコと電話で一時間以上話した。


「ティファニーで朝食を」は、オードリー・ヘプバーン主演で、

映画化されて、原作とは違ったストーリーになっていく。

映画では、ホリーと恋愛してしまう。

カポーティはゲイなのでありえない。


実際はカポーティとホリーとの関係は、同じ国吉ハウスに住む、

親しい隣人でしかない。

「いつも旅行中」と郵便受けに札が掛けられていて、

カポーティはホリーに会ったことはないかもしれない。


タイトルの「ティファニーで朝食を」は、

ティファニーで朝食をするなんて、ありえない夢のことだと思っている。

ホリーが「いつの日か目覚めて、ティファニーで朝ごはんを食べるときにも、

このままの自分でいたいの」と述べている。

映画では、一流宝石店ティファニーのショー・ウィンドウを見ながら、

朝食のクロワッサンを食べているが、このシーンは小説にはない。


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