表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/476

深淵の友

十二月二六日

毎日のデパート勤務の影響だろうか。

僕は熱を出してしまった。

東京に来て三年を過ぎて初めてだった。

高熱にうなされ二回目の欠勤となった。

ベッドの深淵の友になっているアマンが看病してくれた。

京子は週一デートしている。

一度だけ、ベッドの深淵に沈んだ。

彼氏との操を守っているのかもしれない。

僕は彼のスペアーのような存在だろう。

奈美恵はフェイドアウトしていった。

京子とのデートを見られたかもしれない。


翌日は意地でも出社して、ふらついていたが頑張った。

そうそうデパートでは、なかよしができた。

僕は、コマワリ四人組と名づけた。

漫画からつけた。「死刑!」というギャグがうけた漫画だ。

さすが渋谷のデパートだ。

エレベーターガールは美人が勢揃い。

僕らは彼女らの品評会をやったり、四人でうまく連携してサボることを覚えた。

マネージャーの居場所をみんなで合図して、二人単位でデパートの隠しドアから、

秘密の廊下(社員専用通路)を通って、社員専用の喫茶店で休憩した。

デパートには秘密の廊下が多くあった。

ある日マネージャーの命令で、さらに地下奥深く潜入した。

地下にある倉庫からおもちゃの補充をした。

クリスマス・イブ前だった。

廊下に100メートルも重ねられて

並べられたクリスマスケーキが置かれてあった。


四名のひとりがエレベーターガールに惚れてしまった。

彼女の行動をみんなで調べ上げて、

告白のチャンスは夜七時の退社時だと結論づけた。

彼は社員出入り口で彼女を待った。僕らは遠くから彼をみまもった。

彼女が彼の目の前を通り過ぎたが、彼は何も言えなかった。

彼らがいたおかげで、僕は楽しいデパート勤務ができた。

契約が終わりになる頃、総務課長に呼ばれた。

「ねぇ、契約延長しない?」

「いえ。勉強に集中したいんです」と、僕は模範解答した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ