12月がはじまる
十二月二日、夜の八時頃だった。
いきなりリョウコから電話があった。
新宿に友人らと来ているがみんなが踊りたいと言っているから、
ディスコを案内してと、頼まれた。
信濃町駅近くに住む僕には、
新宿までは歩いても約三十分ほどだが、電車でかけつける。
おなじみの新宿クレイジーホース(新クレ)に連れて行った。
女性は四名と、男は僕。
僕は、ご機嫌になりすぎて、酒のボトルを一本空けてしまった。
久しぶりに酔っ払った。
お勘定はリョウコらのオゴリだった。
僕はフラフラになりながらひとりで帰宅した。
十二月七日
クラスメートのオンワードと新宿クレイジーホース(新クレ)へ行った。
女子大生四名らと意気投合した。そのうちのひとりが完全に泥酔した。
テーブルのコップを倒すは、突然ワメキだし奇声を上げる。
深夜一時だった。
店から追い出されて僕らは電車がないので、
深夜喫茶「穂高」で始発電車まで彼女らとつきあった。
朝はみんなでモーニングサービスをとってお別れした。
僕一人、帰宅したのは八時頃。
オンワードもいいやつだ。 いっしょにつきあってくれた。
僕は、自分が、どうしようもないフェミニストだと思った。
単なる友人として異性とつきあうのが好きなんだ。
無意味といおうか、無駄だと思うが、なにかその場かぎりの交流が楽しい。
知らないもの同士が意気投合して飲んで踊って、
新宿の街を六名で腕を組んでブラブラと行進した。
もう会うことはない。
ああ、ずっとこんな繰り返しだ。
でも嫌いではない、思い出だけが残る。