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ノルウェイの森〜主人公の嘆き
直子はこう言った。
「私のことを忘れないで。
私がここに存在していたことを覚えていて」と。
その言葉を思い返すたび、僕は胸が締めつけられるほど哀しくなる。
なぜなら、直子は僕を愛していなかったからだ。
トオルの嘆きは、愛する人を失った僕の心に深く響いた。
それがきっかけで、僕は「ノルウェイの森」が好きになった。
別れは必ず訪れる。
そのとき、残された僕たちはどう生きていくのか。
そんな問いに迷う僕を励ましてくれる言葉を、ここで紹介したい。
「あなたの姿は見えなくても、
あなたの気配をそばに感じる。
あなたの存在が、
私の心を静かに癒してくれる。
それは、あなたがどこにでもいるから。」