秋の早稲田祭
秋の早稲田祭でクラブ恒例のコンサートが行われた。
クラブは大所帯なので、僕らの演奏は一日数曲だけだった。
女性ボーカルのコンボが3つあった。
「ケアレスラブ」を三名の女性が歌った。
三人とも歌い方が違う。
デキシーランドのスタンダードナンバー。
歌詞は、恋よ恋、軽はずみな恋よ。
お前の欲深い鉤爪に囚われている。
お前はわたしの固い決意をさんざん破る。
わたしの魂の奥底に火をつけてきた。
女性は子宮に左右される歌だと思った。
僕らのコンボは『ロイヤル・ガーデン・ブルース』
と『Muskrat Ramble』を演奏した。
オンワードがミドリら高校生を早稲田祭に案内していた。
コンサートが終って、僕はミドリを吉祥寺駅まで送った。
ミドリは言った。
「友達が一生懸命に、あなたのピアノ演奏みていたよ」
僕は失恋したと思った。
数日して気づいた。
友達は、たしかに美人だった。
ミドリは友達が僕を好きみたいと、言ったのだ。
僕はビッコなんか平気だった。ミドリは可愛かった。
ミドリが「あたしでいいの?」って確認していたのだ。
ミドリの連絡先を知らなかった。
味気ないフェイドアウトだった。