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目撃3 井上陽水の『ジェラシー』
僕はベッドに入ったが眠れなかった。離婚しようと思った。
信じきっていた僕のハートは機関銃で蜂の巣のようになって、
寒い風が吹き荒れていた。腹いせに自殺するのもいいかと思った。
自分に落ち度があるから浮気されるんだ。
本当にコキュになっていないのだろうか。
コキュが頭の中に津波のように押し寄せた。
妻も眠れないようで、僕の部屋にやってきた。
僕はオスらしい行動をとった。
動物でも交尾をした後に、他のオスに交尾されると
再びメスに交尾して他のオスの名残を消すらしい。
なんだろう?
妻のお詫びなのか、なにも釈明もしないし、無口である。
スペインの女優ペネロペ・クルスのような顔と目でせまってくるし、
オスはどうしてもメスの体で確かめたくなる。
男と今夜は、寝たあとなのだろうか?
惚れた女性だ。
妻を娼婦と思えばいいのだろうか?
娼婦ならば離婚しないでやっていけるかもしれない。
井上陽水の『ジェラシー』歌詞がぐるぐる頭でまわっていた。
「ワンピースを重ね着する君の心は。不思議な世界をさまよい歩いていたんだ。
誰にも云えない事がある」