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岡本太郎氏の母についての断章


結婚後に愛した最初の男、堀切重夫


投書家で、歌人かの子のファンだった。


かの子は夫(一平)に、うちあけた。


夫は「そんなに好きになった男なら、

手許へつれてくれば

いいだろう」


それで重夫は一平の家に同居する。

長男太郎は白い目でにらみつけたそうだ。

重夫は結核で死ぬ。

____________



二人目の男、仁田(仮名)を


家に連れ帰り、返さない。


仁田は医者でかの子を治療した。

かの子は仁田を気に入り

夫へ「パパ 病院で西洋蝋燭のような男みつけたのよ。

ね、もらってきて、

すぐもらってきて、いいでしょ」

入院中仁田を離さない。

退院後は恋文を送りつづけた。

一度かの子の元に行くと、

かの子は仁田を帰さなかった。


仁田はかの子との別離は考えられなくなり、愛しあった以上、

人妻との不倫の恋におちた形はいやだと思った。

「奥さんを下さい、僕は奥さんと正式に結婚します」

夫「かの子を僕から奪わないでくれ。

僕らはいわゆる夫婦生活はしていないけれど、

僕にとってはかの子は生活の支柱だ。いのちだ。」

そして共同生活がはじまる。


____


かの子の才能を惜しむ、川端康成、林房雄


「困ったよ、今死なれたのでは、全く困るよ」

「うん 困ったね」

「これからなんだから」

「もう一息のところだった」

「五年でのいい、五年経てば森鴎外、漱石級だといった予言もりっぱに立証されたんだがなあ」

「このままでは、人は巨大な未完成品と思うかもしれない」

「だから困るよ。全くかけがえのない偉さと可能性を持っている人なのだ」


_____


瀬戸内さんで素晴らしいと思った文章


どんな話からほぐれていったか、それからものの5分もたつと、

仁田氏はもうすっかり心の垣根をとり、何かに憑かれたように

次から次へかの子の思い出を話しだしてくれていた。

私は、こういう時にいつも感じる全身の細胞がはりさけそうな緊張感と、

わきたってくる喜びをおさえつけながら、一語一句も聞きのがすまいと

目と耳で、語り手をみまもっていた。

かの子が語らせているのだと、聞きながら私は思った。

仁田氏も今、それを感じていることが私にはわかった。

私の目から鱗が一枚一枚はぎとられるように、真相の輪郭が明らかにされていく。



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