欲望という名の電車 個人的な感動の叙情的な表現
「欲望という名の電車」
原作者はテネシー・ウィリアムズ
1948年には『欲望という名の電車』で、
1955年には『熱いトタン屋根の猫』でピューリツァー賞を受賞
アメリカで一番権威のある賞である。
受賞者には賞状と現金15000USドルが贈られる。
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『欲望という名の電車』の主人公は
ウィリアムズの姉ローズの投影のようだ。
実際に姉は精神障害で
精神病院の中で
生涯のほとんどを過ごす。
両親は結局、ローズに対するロボトミー手術を許可した。
ウィリアムズはこのことで両親を許さなかったし、
愛する姉を救えなかった自分自身の罪の意識にも苦しんだ。
ウィリアムズの作品の登場人物はしばしば家族に対する直接の抗議であると見られる。
『ガラスの動物園』の姉と母親がモデルであるとされる。
また『去年の夏 突然に』や『ガラスの動物園』も自叙伝的である。
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テネシー・ウィリアムズは文学表現について、
以下のように述べている。
われわれは、ひとり残らず、
監禁の宣告をうけている。
銘々のからだを
被っている皮膚という独房の外へは、
一歩も出られないのだ”
個人的な感動の叙情的な表現
それは、生涯を独房に監禁された囚人が、
おなじ境遇の囚人にむかって、
自己の官房から呼びかける悲鳴なのである。
これは
作家が自分の体験しか書けない喘ぎにも思える。
村上春樹氏も述懐している。