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ジョゼと田辺聖子とサガン いつかあなたは あの男を愛さなくなるだろう
「ジョゼと虎と魚たち」の映画では、
わざと金髪のカツラをかぶり、
サガンの小説を読む主人公。
作品は「一年ののち」から。
「いつかあなたは
あの男を愛さなくなるだろう」
とベルナールは静かに言った。
「そして、いつしか
僕もまたあなたを愛さなくなるだろう。
我々はまたもや孤独になる、
それでも同じことなのだ。
そこに、
また流れ去った一年の月日が
あることだけなのだ...」
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同じようなテイストだと感じる、ジョゼの語りがある。
作品「素晴らしい雲」
「いくつの頃だっただろう
14か15くらいだっただろうか
彼女は よく
あのポプラのしたに寝転がって
両足を幹にたてかけ
風にゆれる頭上の無数の
小さい葉を ながめた
風はずっと高いところで
かぼそくて
今にもふきとんでしまいそうな
樹のてっぺんを
いっしょにおじぎさせた」