表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

135/518

夏目漱石とイスラム教(モハメット教)

夏目漱石とイスラム教(モハメット教)

漱石がイスラム教について関心を持ったのは、主にロンドン留学時代(1900年〜1902年)で、彼の「宗教一般に対する関心」の一部として研究されました。

調べた主な資料

漱石の蔵書や手紙などから、彼がイスラム教に関して具体的に参照した資料として、以下のものが知られています。

Thomas Carlyle の著作

特に『On Heroes, Hero-Worship, and The Heroic in History(英雄と英雄崇拝)』の「The Hero as Prophet. Mahomet: Islam(予言者としての英雄。マホメット:イスラム)」の章を読み込んでいます。

漱石はこのカーライルのマホメット観を通じて、英雄的な人物の精神性や歴史における役割といった側面からイスラム教に触れました。

Gibbon の著作

エドワード・ギボンの大著『The History of the Decline and Fall of the Roman Empire(ローマ帝国衰亡史)』には、イスラム教の勃興に関する記述が含まれており、漱石もこの部分を参照していたと考えられています。

その他、宗教史や比較宗教学に関する資料

漱石の留学時代の研究は広範な比較宗教学的視野を持っていたため、イスラム教をキリスト教などと比較する視点も持っていました。

作品への影響(『三四郎』の「広田先生」)

漱石が調べたイスラム教に関する知識は、代表作の一つである『三四郎』に明確に反映されています。

広田先生のモデルと描写

作中に登場する広田先生は、モハメット教の研究者という設定になっています。

広田先生のモデルは、漱石が敬愛していた内村鑑三とも言われており、漱石は広田先生を通して、当時の社会に対する精神的な批判や人生に対する達観した思想を表現しました。

作中での具体的な言及

広田先生の言葉として、「モハメット教の信者などになって見れば、今少しいい事があるだろう」という趣旨の発言が残されており、既成のキリスト教や世俗に対する批判的な視点、あるいは異文化・異宗教への関心としてイスラム教が用いられています。

これは、留学中に「異端の予言者」としてイスラム教に触れた漱石の関心を反映していると言えます。

漱石にとって、イスラム教の研究は単なる学問だけでなく、当時の日本の精神的状況や文明批評を行うための重要な参照軸の一つとなっていたと考えられます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ