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夏目漱石3  不幸と思うのは自分で、自分次第

人が不幸にするのではない。

不幸と思うのは自分で、自分次第

純粋に心の落ち着きを得た人は、

求めないでも自然に、

この境地に入れる。

     

一度この境界に入れば、

凡ての対象というものがなくなって、

ただ自分だけが存在する。

      

そのときの自分は有とも無でもない。

             

偉大なような

又繊細なようなものだ。

なんとも名の付け様のないもので、

すなわち絶対というものだ。

             

その絶対を経験している人が、

俄然として

鐘の音を聞くとすると、

その鐘の音は即ち自分だ。

        

言葉を換えて同じ意味を表すと、

絶対即相対になる。

   

従って自分以外に

物を置き

人を作って、

苦しむ必要がなくなるし、

また苦しめられる掛念も起らない。

      

根本義は

死んでも生きても

同じ事にならなければ、

どうしても安心は得られない。

      

すべからく

現代を超越すべしといった才人は

とにかく、

            

僕は是非とも生死を超越しなければ駄目だと思う。

     

人間の作った夫婦という関係よりも、

自然が醸した恋愛の方が、

実際神聖だから、

それで時を経るに従って、

       

狭い社会の作った窮屈な道徳を脱ぎ棄てて、

      

大きな自然の法則を嘆美する声だけが、

我々の耳を刺激するように

残るのではなかろうか。

      

「行人」より

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